1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

名大、大面積ナノシートの高速成膜法「自発集積転写法」を開発

マイナビニュース / 2024年7月18日 6時35分

画像提供:マイナビニュース

名古屋大学(名大)は7月16日、酸化物、酸化グラフェン(GO)、窒化ホウ素などの二次元物質(ナノシート)の高速・大面積成膜法である「自発集積転写法」の開発に成功したと発表した。

同成果は、名大 未来材料・システム研究所の施越研究員(研究当時)、同・李紅学院生、同・常松裕史大学院生(研究当時)、同・尾関晴美研究業務員、同・加納貴美子研究業務員、同・山本瑛祐助教、同・小林亮准教授、大阪大学の阿部浩也教授、国立台湾大学のChun-Wei Chen教授、同・長田実教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、ナノ/マイクロスケールに関する学際的な分野を扱う学術誌「small」に掲載された。

二次元物質は、高い電子・イオン移動度、高誘電性、透明性、高耐熱性など、従来のバルク材料とは異なる機能の発現が期待されている。そうした優れた機能を最大限に引き出してデバイス化するためには、二次元物質をさまざまな基板表面に稠密配列させ、薄膜を作製することが重要となる。

二次元物質の薄膜製造については、従来の化学気相堆積法やラングミュア・ブロジェット法などの適用が検討されてきたが、高品質な大面積二次元物質膜の成膜技術は未確立だという。現行の基板転写プロセスには多くの課題があり、実用化、社会実装が立ち遅れている状況で、これらの課題を解決するためには、大面積二次元物質膜を簡便かつ短時間で実現する新プロセスの開発が強く求められていた。

これまでの研究で、二次元物質インクを利用した新規成膜技術を検討する中で、水面で流氷が並ぶように自発的に並んで、15秒程度で二次元物質の緻密な膜が形成されるユニークな自発集積現象を発見したのが研究チームだ。そこで今回の研究では、同現象を利用してその緻密な膜を基板に転写することで、二次元物質の高速・大面積成膜の実現を試みることにしたとする。

インクには、二次元物質のコロイド水溶液(濃度:0.36wt.%)とエタノールの1:1の混合溶液の利用が好適だという。エタノールの蒸発の際、アルコールの濃度差により二次元物質の対流が生じ、効率的な二次元物質の配列制御が実現する。成膜操作は簡便であり、まず、純水を入れたビーカーに二次元物質のインクを数滴滴下することで、水面で流氷が並ぶように、容器の外側から二次元物質が自発的に並んで、二次元物質の緻密膜が形成されるとした。そして、形成された二次元物質緻密膜を、金魚すくい、紙すき操作で基板に転写することで、ウェハサイズ、A4サイズの二次元物質単層膜(膜厚1~2nm)の成膜を実現できるという。この間に要する時間は1分程度とした。膜質評価の結果、二次元物質がジグソーパズルのように緻密に配列しており、高品質な二次元物質膜の大面積成膜が実現されたのである。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください