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千葉大、気候異常を人為的なエアロゾルを用いて検出する新たな手法を開発

マイナビニュース / 2024年7月18日 6時45分

画像提供:マイナビニュース

千葉大学は7月16日、微小粒子状物質(PM2.5)に代表されるエアロゾルの大発生源である中国の風下の太平洋に着目して長期のエアロゾル衛星観測ビッグデータを解析した結果、エアロゾルをトレーサーとしてみなす新しい方法を用いることで、気候の異常などに伴う大気輸送場の変化を検出できることを明らかにしたと発表した。

同成果は、千葉大大学院 融合理工学府の蔡穎大学院生、同・大学 環境リモートセンシング研究センターの入江仁士教授らの研究チームによるもの。詳細は、環境に関する全般を扱う学術誌「Science of The Total Environment」に掲載された。

現在、気候変動の影響が「気候危機」として世界各地で顕在化しており、気候変動の進行に伴って、中緯度で温帯低気圧が通過する経路やそれに付随する降水領域が極側へシフトしているとされる。また陸域においても、気候ゾーンの極側へのシフトが報告されており、気候変動の影響が予測よりも深刻化する可能性もあるため、一刻も早く正確な気候変動の検出を行う必要があるという。

PM2.5に代表されるエアロゾルは人々の健康だけでなく、太陽光を吸収・散乱する効果や雲の性質を変化させる効果によって、地球の気候にも影響を及ぼす。そこで研究チームは今回、そうしたエアロゾルが気候に及ぼす影響とはまったく異なる観点でとらえ、それをトレーサーとみなして気候の異常を検出する新しい方法を開発することにしたとする。

今回の研究では、NASAの人工衛星「Terra」と「Aqua」に共に搭載されている中分解能撮像分光放射計「MODIS」の「エアロゾル光学的厚さ」(AOD)のビッグデータが解析された。2003~2021年の19年間におけるMODIS AODデータの平均マップによれば、中国は他地域よりもAOD値が大きく、エアロゾルの大発生源であることが確認できるという。

また、19年間、毎日3時間ごとにアジア大陸の各主要都市上空の高度100mを起点に10日間の「フォワードトラジェクトリー」(FT)が計算された。質点とみなした空気の塊の移動軌跡(トラジェクトリー)を気象データで計算することをトラジェクトリー解析といい、そのうちの時間を進めて計算したものがFTである。

その膨大なデータをすべて平均したFTを線で示すと、太平洋はアジア大陸の主要発生源の風下に位置していることがわかるという。この結果を踏まえ、中国からのエアロゾルの越境大気汚染経路を他国からの影響を最小にして調べるため、北緯25~30度の緯度帯の太平洋が研究領域に設定された。

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