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千葉大、気候異常を人為的なエアロゾルを用いて検出する新たな手法を開発

マイナビニュース / 2024年7月18日 6時45分

次に、北緯25~30度の緯度帯の太平洋上において、中国から発生したエアロゾルが中国沿岸域から東の海上に運ばれる際に、新たな発生源が無く、除去されるプロセスが主に起きていることを確認するため、AODの経度分布が調べられた。その際、年や季節によって中国から発生するエアロゾル量が変わるという影響を相殺するため、中国沿岸域のAODデータで規格化した数値(RAOD)を用いる新たな方法が開発された。これは、ある経度のAODデータを東経125~130度のAODデータで除した値におおむね相当するという。RAODを算出する際、波しぶきに由来する海塩などの自然起源エアロゾルが無視できないことがわかり、その寄与をNASA開発の再解析データ「MERRA-2」を援用して差し引くという工夫も施された。そして同値は、東に向かって指数関数的に減少することが判明した。

また減少の度合いについては、千葉大が主導する、同緯度帯近傍に位置する沖縄辺戸岬と南鳥島の地上リモートセンシング観測網「SKYNET」で得られたAODデータから求めたRAODと整合することも確認された。さらには、RAODの季節変動は大気輸送場の季節変動ともよく対応していたという。このように、エアロゾル(より正確には人為起源エアロゾル)をトレーサーとみなす新たな方法を用いることで、大気輸送場の変動を評価できることが確かめられた。

それらの結果を踏まえ、2003~2021年の19年間を3期間に分けてRAODの長期トレンドが調べられた。その結果、同じ経度でRAODの値を比べると、時間と共にわずかに減少する傾向があることがわかった。また、RAODがある値(たとえば0.2)まで減少する東西方向の距離が短くなる傾向も発見された。RAODがある値まで減少する東西方向の距離が短くなる傾向は、中国沿岸域から真東に運ばれる越境大気汚染の距離が短くなったことを意味し、越境大気汚染経路が北にわずかにシフトしたことで説明できるという。このような温暖化に伴って起きうる傾向を精度高く評価し、気候の異常を一早く検出するためには、さらに長期にわたった人工衛星による地球観測が不可欠とした。

研究チームは今後、日本の主要な地球観測衛星による地球観測の継続と共に、数値シミュレーションやデータサイエンスといった手法を相補的に活用し、気候危機の影響を抑えた安心安全な地球環境の実現を目指していきたいとしている。
(波留久泉)



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