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千葉大など、LHCで電子とミューの2種類のニュートリノの反応断面積を初計測

マイナビニュース / 2024年7月18日 19時32分

画像提供:マイナビニュース

千葉大学、九州大学(九大)、名古屋大学(名大)、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の4者は7月16日、「FASER国際共同実験」(FASER実験)にて、欧州原子核研究機構(CERN)が所有する加速器、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を用いて、テラ電子ボルト(TeV)の電子ニュートリノ(νe)とミューニュートリノ(νμ)の反応断面積(物質との相互作用の強さ)を測ることに成功したと発表した。

同成果は、千葉大大学院 理学研究院の有賀昭貴准教授(スイス・ベルン大学兼任)、九大 基幹教育院・共創学部の有賀智子准教授、ベルン大学の大橋健研究員、九大 基幹教育院の河原宏晃学術研究員、千葉大 理学研究院の早川大樹特任助教、名大 未来材料・システム研究所(IMaSS)の佐藤修特任准教授、同・六條宏紀助教、名大 理学研究科の中野敏行准教授、CERNの稲田知大研究員、KEKの田窪洋介研究機関講師(現・新居浜工業高等専門学校 准教授)、九大 理学研究院の音野瑛俊准教授らが参加したFASER実験によるもの。の共同研究チームによるもの。詳細は、米国物理学専門誌「Physical Review Letters」に掲載された。

FASER実験は、ダークマターの正体解明につながる未知の粒子の探索と、高エネルギーニュートリノの研究を目的とした、CERNのLHCの陽子衝突点の超前方(ビーム軸に対して0.03°程度)の480m地点に検出器を設置して行われている実験で、同実験のニュートリノプログラムは千葉大の有賀准教授と九大の有賀智子准教授らが提案した日本主導のもの。

素粒子の標準模型では、レプトン(軽粒子)は大別して2つあり、荷電レプトンは第一世代が電子(e)、第二世代がミューオン(μ)、第三世代がタウ(τ)という構成であり、もう1つの中性のレプトンはニュートリノのことで、同様に3世代あり、νe、νμ、タウニュートリノ(ντ)となっている。そして、3世代が同じように弱い相互作用すると考えられてきた。

しかし近年の研究により、3世代は予想に反した振る舞いをしている可能性が示唆されるようになってきている。つまり、ここに新しい物理現象や未知の相互作用が存在するかもしれないと考えられるようになってきたのだ。この3世代のニュートリノを使って詳細に調べることができれば、新たな謎に迫れる可能性があるという。また、νe、ντはこれまでにテラ電子ボルト(TeV)での反応断面積が測定されたことはなく、高エネルギー領域における初測定は素粒子標準模型を超えた物理の影響があるかどうかを検証することになるとする。

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