阪大など、レーザー駆動中性子源で飛行時間計測装置の大幅な小型化を実現
マイナビニュース / 2024年7月18日 19時12分
大阪大学(阪大)、量子科学技術研究開発機構(QST)、北海道大学(北大)、日本原子力研究開発機構(JAEA)の4者は7月16日、強いレーザー光で中性子を生成し、中性子共鳴吸収を用いて、特定の元素の温度の瞬間的な非破壊計測の原理実証を行った結果、タンタルと銀の試料を設置して中性子を透過させることで、元素の種類を識別し、また、タンタルのみ温度を最大摂氏620度まで上げると、タンタルの信号だけが温度に対応して変化することを確認したと共同で発表した。
同成果は、阪大大学院 工学研究科の藍澤塵大学院生、阪大 レーザー科学研究所の余語覚文教授、QST 関西光量子科学研究所の早川岳人上席研究員、北大大学院 工学研究院の佐藤博隆准教授、JAEA 核不拡散・核セキュリティ総合支援センターの小泉光生研究専門職らの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。
動作中の機器の内部の温度を正確に知ることは、その機器の性能向上などにつながるため、計測技術が広く求められており、レーザーやX線を用いた温度計測法の研究が進む。しかし、複数の元素で構成された機器において、特定の元素の温度を非破壊で計測できる技術はまだ確立されていない。
これまで、その物質透過力の高さを利用し、さまざまな構造物の内部を非破壊で計測するのに用いられてきたのが、中性子だ。しかし従来の加速器駆動中性子源では、中性子パルス幅が長いために飛行時間計測用ビームラインを10m以上に長くする場合が多く、また、瞬間強度が十分高くないといった課題を抱えていた。そのため、1データの計測に数分、時には数時間も必要な場合もあり、瞬間的な温度計測は不可能だったという。
そうした中、新しい手法の「レーザー駆動中性子源」の研究を進めているのが阪大 レーザー科学研究所だ。この手法は、同研究所の大強度レーザー「LFEX(エルフェックス)」を用いて、レーザープラズマ相互作用で陽子・重陽子を同時に加速させ、原子番号4のベリリウム金属に照射することで中性子が生成される。また、生成された中性子の持つ極短パルス・高輝度の特長を活かすことで、これまで不可能だった計測の実現を目指しているという。今回の研究では、レーザー駆動中性子源で中性子パルスを生成し、運動エネルギー(速さ)計測手法の1つである「飛行時間計測法」による、中性子共鳴吸収を用いた元素の非破壊分析を行ったとする。
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