スペースX「ファルコン9」ロケット、打ち上げ失敗 - 考えられる影響は?
マイナビニュース / 2024年7月23日 6時50分
米宇宙企業スペースXは2024年7月12日、主力ロケット「ファルコン9」の打ち上げに失敗した。
ファルコン9の失敗は2016年以来、8年ぶりで、この間に334回の連続成功を続けていた。
原因は調査中で、打ち上げ再開のめどは立っておらず、場合によっては影響が広く波及する可能性もある。
ファルコン9の失敗
ファルコン9は日本時間7月12日11時35分(太平洋夏時間11日19時35分)、カリフォルニア州にあるヴァンデンバーグ宇宙軍基地から離昇した。
ロケットには、同社のインターネット衛星「スターリンクV2ミニ」が20機搭載されていた。
当初、ロケットは順調に飛行し、第1段は計画どおり燃焼を終えて分離され、太平洋上の「もちろんいまも君を愛している」号に着陸した。
その間も、ロケットの第2段は軌道に向かって飛行を続けていたが、次第に第2段エンジン「マーリン1D バキューム」に貼られている断熱シート(MLI)が膨らみ始め、大量の霜が付着し、さらに推進薬の液体酸素が漏れ始めた。
第2段に霜が付着したり、MLIが膨張したりすることは、これまでの打ち上げでもよく見られた現象だが、今回はその量が多く、なにより液体酸素の漏れは明らかに異常だった。
それにもかかわらず、第2段エンジンの1回目の燃焼は計画どおり完了し、傾斜角53.2度の高度約135×280km、軌道傾斜角53.2度の軌道に到達した。
今回のミッションでは、このあと第2段エンジンの2回目の燃焼を行い、最終的に高度約300kmの円軌道に入り、衛星を分離することになっていた。しかし、同社のイーロン・マスクCEOによると、第2段の2回目の燃焼を開始しようとしたところ、「エンジンが急速な予定外の分解(rapid unscheduled disassembly)を起こした」という。
もっとも、第2段機体は生き残り、搭載していた衛星を分離することはできた。しかし、近地点高度(地球に最も近い点)が135kmと非常に低く、これは予定していた近地点高度の半分以下だった。
これを受け、スペースXはスターリンク衛星のシステムを早急に立ち上げ、衛星のスラスターを噴射することで軌道を上げようとした。しかし、高度135kmは大気との抵抗が大きな領域で、そのうえスターリンク衛星のスラスターは電気推進エンジンであるため、推力が小さいことから、軌道を上げられない可能性があった。
マスク氏によると、スラスターを「ワープ9」(最大出力)で動かしたという。しかし、予想どおり大気との抵抗に打ち勝てず、7月12日から13日の間に、すべての衛星が大気圏に再突入し、失われた。
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