スペースX「ファルコン9」ロケット、打ち上げ失敗 - 考えられる影響は?
マイナビニュース / 2024年7月23日 6時50分
スターリンク衛星は設計段階から処分時のことを考慮し、再突入で燃えて分解しやすいように造られているため、地上への影響はなかった。
なお、第2段機体は衛星の分離後、軌道上で爆発するのを防ぐために不活性化する処置を行うことができたという。もっとも、制御再突入するためのエンジン燃焼はできず、しばらく軌道上にとどまったあと、再突入した。第2段機体は完全に燃え尽きない可能性もあったが、現時点で地上への被害は確認されていない。
失敗の影響
今回の打ち上げは、ファルコン9にとって通算354回目で、現行型の「ファルコン9 ブロック5」に限っても298回目、今年だけでも70回目だった。通算での連続成功数は334回を数え、これはあらゆるロケットの中で最高記録となっている。
打ち上げ失敗は、2016年以来となる(厳密には、地上での試験中の爆発)。2021年2月には、第1段エンジンの燃焼が早期に止まるというトラブルに見舞われたが、打ち上げ自体は成功している。
今回の失敗を受け、スペースXはファルコン9の運用を一時停止した。米連邦航空局(FAA)も事故調査を開始している。
スペースXは「この出来事は、宇宙飛行が技術的にいかに困難であるかを思い出させる。FAAとともに徹底した調査を実施し、根本的な原因を突き止め、今後のミッションを確実に成功させるための是正措置を講じる」としている。
ファルコン9はすでに十分な実績と信頼性があるロケットであり、原因の特定や対策は比較的簡単とみられ、打ち上げ再開までは数週間程度で済む可能性がある。その点では、H3ロケット試験機1号機の打ち上げ失敗のような、新型ロケットの失敗とは、技術的な質が異なるものである。
ただ、ファルコン9は昨年96回の打ち上げをこなし、今年はそれ以上の打ち上げを目指していたことから、ロケットの製造・試験、輸送・保管といった部分で無理が生じたなどの可能性もある。高頻度な打ち上げが要因となれば、一時的に打ち上げ頻度を少なくしたり、施設設備や人員を増強したりといった対策が必要となり、影響が長引く可能性もある。
なにより、たとえ数週間でも打ち上げが止まれば、打ち上げ計画や、打ち上げを待っている衛星側の予定に、遅れが生じることは間違いない。
とくに、8月には宇宙飛行士4人を乗せ、「クルー・ドラゴン」運用9号機を国際宇宙ステーション(ISS)へ打ち上げることになっており、打ち上げが遅れることになれば、ISSの運用全体にも影響する可能性がある。
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