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東北大、6G通信向けの「三次元バルクメタマテリアル」を開発

マイナビニュース / 2024年7月24日 20時20分

画像提供:マイナビニュース

東北大学は7月22日、固体のアモルファス構造を規範として、「二層スプリットリング(SR)共振器」を三次元的に不規則に配置した「三次元バルク(3DB)メタマテリアル(MM)」を開発したと発表した。

同成果は、東北大大学院 工学研究科 ロボティクス専攻の金森義明教授、同・イン・ホワン特任助教、同・木田喬仁大学院生(研究当時)、同・脇内駿大学院生、同・岡谷泰佑助教、同・猪股直生准教授らの研究チームによるもの。詳細は、機能性材料に関する化学と物理学を扱う学際的な学術誌「Advanced Science」に掲載された。

2030年代の実用化を目指す第6世代移動通信システム(6G)では、テラヘルツ(THz)波を利用すべく研究が進んでおり、加工が容易かつ幅広い屈折率特性を有するTHz光学素子用の新規材料として注目されるのが、超微細構造体で構成される人工光学物質のMM。

これまでの研究で、MMの単位構造として一層のSR共振器を内包した1辺100μmの立方体の粉体を用いた3DBMMを開発し、周波数0.7THz付近において、屈折率の制御に成功したのが研究チームである。しかし屈折率の変化率は小さく、さまざまなTHz用光学素子に展開するためにも、より大きな屈折率変化を実現する3DBMMの開発が強く望まれていたという。

今回の研究では、二層SR共振器を固体のアモルファス構造を規範として、三次元的に不規則配置した3DBMMが開発された。SR共振器を一層から二層とすることで、単位体積当たりの共振器の密度を増大させ、周波数0.34THz付近で、屈折率が1THzあたり2.314の変化を確認。この屈折率変化率は、以前の3DBMMより1.25倍大きく、さらに二層SR共振器の配置の密度で調整できることも実証したという。アモルファス構造を規範とすることで等方的な光学特性を実現でき、偏光依存性が解消されるため、汎用性の高いTHz波制御用光学素子の実現が期待されるとしている。

MMの共振特性を利用すると高い屈折率を得られ、高い屈折率を持つ3DBMMでレンズを作ることで、短い焦点距離のレンズや薄いレンズを作製でき、装置の小型軽量化が実現される。またMMの共振波長帯では、屈折率が大きく変化する高い屈折率分散特性を示す。高い屈折率分散特性を持つ3DBMMで、波長に応じて異なる角度で屈折するプリズムを作製でき、THz波の分光器も実現可能だという。それらにより、6Gをはじめ、さまざまなTHz波応用分野における波長抽出やスペクトル解析への応用が期待できるとする。

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