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JSTなど、徹夜の後に長時間のリバウンド睡眠が生じる仕組みを解明

マイナビニュース / 2024年7月24日 20時22分

続いて、覚醒履歴に応答してPV発現神経の活動変化を引き起こす分子メカニズムの解明が試みられた。覚醒が続くほど、大脳皮質全体における同酵素の自己リン酸化を促進し、睡眠制御に重要なタンパク質とされているのが、脳内の主要なタンパク質リン酸化酵素である「CaMK II」だ。しかし、その役割は不明な部分も多いという。

そこで、PV発現神経のCaMK IIの発現が調べられた。すると、サブタイプの1つである「CaMK IIα」の発現レベルがリバウンド睡眠の変化と一致しており、幼若期から発達期にかけて2倍以上増加することが判明。そこで、同神経の同酵素の活性と睡眠恒常性との因果関係を調べるため、同神経に特異的に同酵素の活性が阻害された。その結果、活性が阻害されたマウスでは、リバウンド睡眠がほぼ見られず、覚醒履歴に応答した同神経の活動亢進が損なわれている可能性が示唆されたとした。

逆に、PV発現神経特異的にCaMK IIを活性化すると、長く安定したリバウンド睡眠様の状態を引き起こすことが確認された。この状態は、同酵素のリン酸化活性を不活化した場合には誘導されなかったとする。以上のことから、同酵素のリン酸化活性が、リバウンド睡眠様状態の誘導に必要であることが示唆されたとした。

以上の結果は、CaMK IIの活性化がPV発現神経の活動を亢進させ、リバウンド睡眠を引き起こすという仮説を支持するものだという。実際、同酵素を活性化すると、同神経の活動が選択的に上昇することが確かめられた一方、興奮性神経の活動はほぼ影響を受けず、同神経に特異的な活動調節機構の存在が示唆されたとする。

最後に、PV発現神経のCaMK IIが覚醒履歴に対応して活性化するのかどうかが評価された。同酵素のリン酸化活性の指標として、自己リン酸化を質量分析により定量した結果、長時間の覚醒により自己リン酸化レベルが顕著に増加していたという。覚醒履歴に応答した同神経の同酵素活性化が示された。以上のことから、同神経の同酵素が覚醒履歴に対応して活性化し、同酵素依存的な同神経の活動が亢進されることが、正常なリバウンド睡眠の誘導に必須であるという新しい睡眠恒常性制御機構が示されたとした。

なお、CaMK II発現が少ない幼若期は、覚醒履歴に応じたPV発現神経の活動亢進が不十分である故に睡眠恒常性が未熟であると考えられることから、研究チームでは今後その部分を検証する予定としている。
(波留久泉)



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