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早大など、超新星残骸「SN1006」の衝撃波で磁場の100倍以上の増幅を確認

マイナビニュース / 2024年7月25日 21時53分

画像提供:マイナビニュース

早稲田大学(早大)、甲南大学、科学技術振興機構(JST)の3者は7月24日、約1000年前の西暦1006年に、「おおかみ座」の方向の約6000光年彼方に出現した超新星爆発の残骸である「SN1006」で生ずる衝撃波で、磁場が100倍以上も増幅される確実な証拠を突きとめたと共同で発表した。

同成果は、早大大学院 先進理工学研究科の田尾萌梨大学院生、同・大学 理工学術院の片岡淳教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、米天体物理学専門誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載された。

宇宙線のスペクトルを詳細に見ると、1015eV(=1PeV)付近に、人間の体にたとえた「knee(ひざ)」と呼ばれる特徴的な折れ曲がりがある。これまでの研究から、knee以下の宇宙線は天の川銀河内で生成され、knee以上の粒子は銀河外から到来すると考えられており、特に、knee以下の宇宙線は超新星爆発で、効率よく加速されると考えられている。超新星爆発では毎回約1044ジュールものエネルギーが解放されるが、そのうちの1%でも宇宙線加速に使われていれば、エネルギー収支としては十分に賄える計算となるという。

宇宙線は大別して、主に天の川銀河内の超新星爆発によるものと、銀河外から到来するものの2種類がある。超新星爆発で解放されるエネルギーの1%でも宇宙線加速に使われていれば、計算が合うとするが、そこまで実際に粒子を加速するのは容易ではなく、100~1000倍も強い磁場が必要とされる。しかし、これまで多くの若い超新星残骸に対しては、電波からガンマ線までの観測が行われており、多波長スペクトルからそこでの磁場は星間磁場と同程度であることが示唆されていた。

一方で、若い超新星残骸「RXJ1713.7-3946」や「カシオペアA」では、X線で明るく示される「ホットスポット」が数年の間に点滅する様子が確認されている。衝撃波で加速された電子の「シンクロトロン放射」で生じたX線と考えられており、この点滅はミリガウス(1mG=1000μG)の強い磁場であることが示唆されていた。しかし、スペクトルから求められた磁場の10μGとは大きく矛盾する。また、他の超新星残骸では磁場増幅の兆候は見つかっておらず、研究者を悩ませる混沌とした状況となっていた。

そこで研究チームは今回、爆発時には昼でも見える-7.5等級まで明るくなったとされ、超新星残骸の"プロトタイプ"とも呼ばれるSN1006に着目。多波長スペクトルと画像解析から磁場増幅と宇宙線加速の謎の解明に挑むことにしたという。

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