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九大、原子核の3体の核子間に働く「3体核力」の詳細な仕組みを理論的に解明

マイナビニュース / 2024年7月26日 18時50分

画像提供:マイナビニュース

九州大学(九大)は7月25日、原子核を構成する核子(陽子と中性子)の間に働く力のうち、3つの核子の間に働く相互作用である「3体核力」について、長らく未解明のままだったが、その詳細な仕組みを理論的に解き明かすことに成功したと発表した。

同成果は、九大 基幹教育院の福井徳朗助教らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、素粒子物理や原子核物理などを扱う学術誌「Physics Letters B」に掲載された。

原子核を構成する複数の核子は、2つの核子の間の相互作用である「2体核力」のみならず、3体核力や、より多くの核子の間の相互作用である「多体核力」を通して、原子核を原子核足らしめている。これまでの研究により、2体核力の性質はある程度理解が深まっているが、3体核力については多くの謎が残されていたという。特に、3体核力がどのように働いて原子核殻構造が発現・発達するのか、その詳細な仕組みは解明されていなかったとする。

3体核力の仕組みについて、解明に迫った先行研究は40年以上前にあるが、その研究では3体核力のある特定の性質にのみ注目したこと、そして当時は信頼できる核力理論が確立されていなかったことから、決定的な結論を導くことはできていなかったという。そこで研究チームは今回、先行研究では果たせなかった決定的な結論を導くことを目指すことにしたとする。

今回の研究で用いられたのが、先鋭的な核力理論の「キラル有効場理論」。自然界にある4つの力のうちの「強い相互作用」の基礎理論は量子色力学であるが、同理論はその低エネルギー有効理論と位置付けられており、2体核力だけでなく、多体核力をも整合して定義できる長所を持つ。

具体的には、交換するパイ中間子の数で3体核力を分類し、それぞれを3つの核子のスピン(核子自身を回転軸にした自転に似た運動)および軌道運動(核子自身以外の特定の回転軸を中心にした回転運動)の組み合わせによってさらに分解、3体核力の各要素のうち、どれが殻構造発達を引き起こしているのかを理論的に分析したとする。

この手法とスーパーコンピュータによる原子核シミュレーションの結果が、縦軸に炭素12原子核に陽子を1つ付加した時のエネルギーを百万電子ボルト(MeV)単位で表す形でグラフ化された。

陽子のエネルギーは量子力学の法則により、内殻に対応するエネルギーと外殻に対応するエネルギーの2つに分かれる。このエネルギー間隔の大きさが殻構造の発達を特徴付ける物理量の1つだという。3体核力を無視した計算結果はエネルギー間隔が小さく、2つの殻が際立っておらず殻構造が曖昧といえるとした。

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