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九大、原子核の3体の核子間に働く「3体核力」の詳細な仕組みを理論的に解明

マイナビニュース / 2024年7月26日 18時50分

しかし、2つのパイ中間子を交換する1階の3体核力によって、この間隔はおよそ2.5倍に増加。この時のエネルギー間隔は約7.5MeVであり、安定な原子核における典型的なエネルギー間隔と整合するという。エネルギー間隔が大きいことは、核子1つが励起するために必要なエネルギーが大きいことを意味するため、1階の3体核力は原子核を励起しにくくしているといえるとした。

また、すべての階数の3体核力を考慮して計算したエネルギー間隔は、およそ8.8MeVだった。そのことから、1階の3体核力によるエネルギー間隔への寄与は、すべての階数の3体核力による寄与のおよそ85%を占めていると結論づけることができるとした。

2つのパイ中間子を交換する1階の3体核力が重要であるという結論は、40年以上前の先行研究の主張と整合するという。しかし先行研究は、この3体核力の一要素の寄与のみを調べたものであり、相互作用の強さは曖昧なままだったとする。今回の研究はそれとは対照的であり、3体核力をより完全な形で扱って各要素の寄与を個別に分析し、そして先鋭的理論によって2つのパイ中間子交換による3体核力の強さが精密に定量化され、これらの点が先行研究との差異とした。

2つのパイ中間子を交換する1階の3体核力は、殻構造の起源のみならず、原子核の一般的性質に重要な寄与を果たしうることが考えられるとする。この3体核力は、3つの核子系のスピンと軌道運動にある特別な働きをする。具体的には、3核子系を構成する部分2核子系の反対称なスピン状態と対称なスピン状態を混合させる。類似する現象は物性物理において知られているが、この混合は2体核力では決して起こらないため、これまで原子核物理では注目されてこなかったという。また、スピン状態の混合とはつまり、スピン状態が区別できない量子もつれと等価とする。このような観点から、3体核力をきっかけに分野を超えた新たな研究が今後、期待されるとしている。
(波留久泉)



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