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体色変化は擬態から威嚇手段に転用された? - 東北大がメダカの観察で確認

マイナビニュース / 2024年7月29日 10時50分

画像提供:マイナビニュース

東北大学と岡山大学の両者は7月26日、インドネシア・スラウェシ島南西部を原産とするメダカの一種「セレベスメダカ」(Oryzias celebensis)の体色変化が、環境に応じてカモフラージュとコミュニケーション手段の2つの機能を果たすことを明らかにしたと共同で発表した。

また、セレベスメダカにおいては、カモフラージュの体色変化がコミュニケーション手段として“転用”されたことが示唆されたことも併せて発表された。

同成果は、東北大大学院 生命科学研究科の上田龍太郎大学院生、同・竹内秀明教授、岡山大 学術研究院 環境生命自然科学学域(理学部附属臨海実験所)の安齋賢教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、「Biology Letters」に掲載された。

カメレオンやタコ、イカなどは、天敵からの逃走などのために、体色を背景に溶け込みやすいものに変化させるカモフラージュの能力を持つことでよく知られている。そうした体色を変化させられる一部の種においては、その能力が異性への求愛やライバルへの威嚇など、同種内でのコミュニケーションにおけるシグナルとしても利用されていることがわかっている。つまり、これらの種の体色変化は、カモフラージュとコミュニケーションという2つの役割を担っていると考えられるとする。

ちなみにカメレオンの一種の「ドワーフカメレオン」では、このコミュニケーション手段としての体色変化が、本来カモフラージュとして使われていた体色変化の機能が転用された結果であると予想されている。しかしこれらの実験モデルでは、実験室内での行動の再現や分子遺伝学的手法の適用が困難であるため、どのような遺伝子や神経基盤の変化を経て、この機能の転用が起こったのか、その進化プロセスについては未解明だったという。そこで研究チームは今回、この問題に取り組むためのモデル生物として、尾ビレの模様を急速に変化させられる能力を持つセレベスメダカに着目したとしている。

セレベスメダカのオスは尾ビレに種特有の黒色模様を有しており、その模様は1分以内という短時間で急速に変化するのが特徴だ。この体色変化は、水槽の背景環境を黒から白、または白から黒に変化させることで、黒色模様が消失したり、再び現れたりする現象が急速に起こることが確認されている。さらに、実験室内での集団飼育条件下では、黒色模様が現れる一部のオスと現れないオスが存在することも観察されていた。しかし、その黒色模様が他個体とのコミュニケーションにおいて、どのような意味を持つのかはわかっていなかったとする。また、メダカの周囲の背景環境が体色変化や行動にどう影響するのかについても、未解明だったという。

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