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宇大など、EUV光源の高効率化に貢献するマルチレーザー照射法を実証

マイナビニュース / 2024年7月29日 12時5分

画像提供:マイナビニュース

宇都宮大学(宇大)、東京大学(東大)、九州大学(九大)、広島大学の4者は7月26日、先端半導体向けの「極端紫外(EUV)リソグラフィ」の光源を高効率化するためのマルチレーザービーム照射法を提案し、EUV光源を高効率化できることを実験的に実証したと共同で発表した。

同成果は、宇大学術院 工学部 基盤工学科の東口武史教授、同・森田大樹助教、宇大 地域創生科学研究科の杉浦使大学院生、同・矢澤隼斗大学院生、東大大学院 工学系研究科 原子力専攻の坂上和之准教授、九大大学院 システム情報科学研究院 電気システム工学部門の中村大輔准教授、理化学研究所(理研) 光量子工学研究センターの高橋栄治チームリーダー、米・パデュー大学 極端環境物質センターの砂原淳研究員、広大大学院 先進理工系 科学研究科の難波愼一教授らの研究チームによるもの。詳細は、米国物理学協会が刊行する応用物理学全般を扱う学術誌「Applied Physics Letters」に掲載された。

先端半導体の性能向上には、EUV露光機の消費電力の大半を占めるEUV光源の高出力化が不可欠だ。しかしその消費電力は莫大なものになっているため、消費電力の抑制が求められており、それを実現できる可能性がある手段の1つとして、波長が約2μmの固体レーザーを駆動用レーザーとして用いるが提案されている。その理由には、波長が約2μmの固体レーザーとCO2レーザーのEUV変換効率が同等であることが理論と実験でわかってきたこと、さらに固体レーザーの方がCO2レーザーよりも電気-光変換効率が高く、消費電力を抑えられることがある。

しかし、波長約2μmの固体レーザーをパルス動作かつ数十kHzで連続稼働させる時の1システムあたりの出力は、100Wにも満たないのが現状で、固体レーザーの1システムあたりの出力を、CO2レーザーと同等の数十kW級にするためには、まだ多くの技術的な課題が存在する。また、この固体レーザーの出力を制限するのは固体レーザー結晶や内部の光学素子の損傷(ダメージ)であり、同様に多くの技術課題があるとする。

そこで研究チームは今回、レーザー装置1システムあたりのパワーが1kW級だったとしても、複数レーザー装置、複数レーザービームを同時にターゲットに集光照射することで、EUV変換効率を増加させられることを確かめたという。

そして、EUV光源の駆動用レーザーの入射する1回あたりの全照射エネルギーを500mJ、1パルスあたりのレーザー強度(パワー密度)を2×1011(1000億)W/cm2としてスズ(Sn)プラズマを発生させると、1ビーム(500mJ/pulse)だけの高エネルギーパルスを照射する時よりもビームを分割した方がEUV変換効率が高くなることが判明した。

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