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2010年に兵庫県で発見された恐竜化石は新属新種、ひとはくなどが同定

マイナビニュース / 2024年7月29日 14時56分

加えて、固有の特徴の組み合わせ(尺骨の遠位端の中部が最も厚くなる、脛骨稜と脛骨幹のそれぞれの前縁の角度が11度以下)を持つことも確認された。これらの固有の特徴と特徴の組み合わせから、新属新種の恐竜類であることが明らかにされた。

今回発見された恐竜の学名は、眠っていた時の姿勢のまま化石になったことが判明したこと、この恐竜化石の第一発見者である松原氏と大江氏の名前などを冠し、「松原と大江の眠る狩人」という意味を持つヒプノヴェナトル・マツバラエトオオエオルムと命名された。

そしてヒプノヴェナトルと他の獣脚類恐竜との関係性を解明するため、503種の他の獣脚類が持つ700個の特徴について、比較系統解析が実施された。その結果、同恐竜は進化的なトロオドン科の「トロオドン亜科」と判明。また、同恐竜は、モンゴル産の「ゴビヴェナトル」と単系統を形成し、トロオドン亜科の中で原始的なものの1つと突き止められた。

続いて、トロオドン科の前あしの末節骨の側面形態の幾何学的形態計測分析が行われた。すると、第1主成分は主に末節骨のカーブの度合いに関連し、ヒプノヴェナトルの第1と第3末節骨は、他のトロオドン科のそれらよりも大きく差異があることが判明。また、第2主成分は主に末節骨の長さや高さ、屈筋結節に関連するが、同恐竜の第1と第3末節骨には大きな差異は認められなかったとした。

次に、筋肉により末節骨の加えられた力が末節骨の先端に伝達する割合(A)が分析された。その結果、他のトロオドン科と比較から、同恐竜の第1末節骨の力は僅かに小さいが、第3末節骨の力は大きかったことになる。この第3末節骨にかけられた大きな力は、第3指の関節が曲がりにくかったこととも関係し、トロオドン亜科の初期進化と関係した可能性があるとした。

ヒプノヴェナトルがトロオドン科の中で、最古の「アークトメタターサル(A)構造」(体重を支えるバネの機能を持つ)を持つ恐竜であると判明したことで、先行研究と比べて、その獲得時期が約3500万年も遡ることが明らかにされた。また、この構造の獲得はトロオドン亜科の大型化をもたらした可能性があるとする。一方で同恐竜は、深い滑車状の関節を持つ第3趾と第4趾の趾骨を有しており、後あしに高い掌握能力を残していたことも判明。これらの発見により、約1億1000万年前の白亜紀前期に同恐竜がA構造を獲得したことで、高い走行性と大型化のポテンシャルを備え、のちに第3趾と第4趾の趾骨関節面も走行性に適した形状へと変化していったことがわかったとした。

今後もさらなる発掘調査および研究により、日本独自の視点から恐竜類の進化を解き明かしていけると期待しているとしている。
(波留久泉)



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