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カレー沢薫の時流漂流 第310回 両親は仕事、子供は夏休み、こんな無理ゲーどうやってクリアしてたんだ

マイナビニュース / 2024年7月29日 16時29分

自分が子供のころ、どうやって命を落とすことなく夏休みを過ごしていたか思い返してみると、我が家には「BBA同居」という有利アイテムが存在した、しかも「母方BBA」という、もはやチートと言って良いカードである。

これが父方BBAだったら、母は義母に子供や家事を任せて仕事をせねばならず、相当やりづらかったはずだ。

ちなみに、我が家には私の父親も常駐していた。家事も子守もしないのでBBAに比べればNカードでしかないのだが、それでも「常時家に大人がいる」というのは大きい、少なくとも埼玉県条例(廃案)に引っかからないというメリットがある。

思い返せば、我が家は少なくともワーママにとってはかなりの有利家庭だったと言える。

しかし、チーターへの報い、それとも自宅警備一本の職人気質な父親の背中を見て育ったせいなのか、私はこんな感じに育ってしまった。

親の夏休みへの恐怖感が高まっているのは、両親の共働き化に加え、核家族化により祖父母などのカード未所持家庭も増えているのに対し、それをサポートする制度が不足していることが原因と思われる。
○今は「夏休み」も上級国民用になってしまったのか

そしてさらに、影響を与えているものもある。

「夏休みどこに行く」という質問に対し、2024年は半数が「自宅ですごす」と答えたそうだ。

この数字に対し「暑いからね」と感想をいだけるのは、かなり平和の国の住人である。

もちろん暑いのも関係あるかもしれないが、給料が上がらないのと、物価高が影響して節約傾向にならざるを得ないという見方も多い。

さらにその影響を大きく受けているのも子育て家庭だ。

もはや、夏休みどこにいく、ではなく「夏休み何を食う」の域に達している家庭も珍しくないようだ。

夏休みは給食がないため、昼食の用意が必要で食費がかかるなど、困窮家庭にとって夏休みは生きていけないレベルの貧困になりかねない恐怖のイベントと化しているようだ。

どちらにしても、親の負担が大きすぎるため「夏休みを廃止に」という声も出ているそうだ。

また子供たちにとっても「夏休みどこ行った?」の質問に対し、饒舌になれる子供と答えに窮する子供にわかれるなど、夏休みは「経験格差」が浮き彫りになってしまう行事になりつつあるという。

ただ、そういう苦い思いをしたり、親の苦労を察せる子供なら「夏休み廃止」も妥当と考えるだろうが、私のように気楽に過ごした子供は「何をいっているのだ?」と思うだろう。

親の心子知らずだが、子供が幼いうちから親の苦労を察してしまう社会の方が健全でないとも言える。
(カレー沢薫)



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