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OIST、消費電力従来比1/10以下のEUVリソグラフィー半導体製造技術を提案

マイナビニュース / 2024年7月30日 19時9分

画像提供:マイナビニュース

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は7月29日、小型のEUV光源でも動作し、消費電力が従来の10分の1以下にまで減らせる、これまでの先端半導体製造の常識を覆す「EUV(極端紫外線)リソグラフィー」技術を提案したことを発表した。

同成果は、OIST 量子波光学顕微鏡ユニットの新竹積教授によるもの。査読前プレプリントが「arXiv」に掲載されている。

現代社会を支える要素の1つである先端半導体は、極端紫外線による露光技術のEUVリソグラフィーを用いて製造されている。しかしその生産現場は、装置の消費電力の高さ、構造の複雑さによる装置価格の高さ、頻繁なメンテナンスの必要性など、複数の大きな課題に直面しており、それらの課題は半導体の生産性に少なからず影響を与えるという。

従来のUV(紫外線)リソグラフィーを始め、カメラや望遠鏡といった光学系は、最も高い光学性能を達成できることから、基本的に直線上に並んだ軸対称光学部品で構成されている。しかしEUV波は13.5ナノメートルと極めて波長が短いため、このような常識が通用しない。EUVを透過させるガラスのような透明な材料がないため、レンズの代わりに反射ミラーを使う必要があるからだ。

しかし、多数の反射ミラーを一直線に並べると、光はまっすぐに通り抜けることができない。そこで、現在実用化されているEUVリソグラフィーでは、反射ミラーを三日月のような形にし、空いた隙間をぬったEUV光を、往復する光路にそってジグザグに通過させる手法が採用されている。ところがこの方法では、光線が中心軸から遠く離れた所を走るため、数々の光学特性が犠牲になってしまうことが課題となっていたという。そこで新竹教授は今回、これまでEUVリソグラフィーの分野で実現不可能とされてきた2つの課題に挑戦することにしたとする。

これまで実現不可能とされてきた2つの課題とは、まず1つが、たった2枚のミラーで構成されるプロジェクター光学系であるという点。2枚の軸対称な、中心に小さな穴の開いたミラーを直線上に並べることで、本来の優れた光学特性を達成することができるという。そしてもう1つは、平面ミラー(フォトマスク)上に形成されたロジックパターンに、光路を遮ることなくフォトマスクの前方からEUV光を照射する新たな手法が見出された点だ。

EUVエネルギーはミラーでの反射ごとに40%ずつ減衰するため、従来技術では、EUV光源から10枚のミラーを通って、ウェハに到達できるエネルギーは、わずか1%程度となってしまう。そのため、EUV光源に高い出力が要求され、そのためにはEUV光源用のドライブCO2レーザーに多大な電力が必要となり、同時に膨大な量の冷却水を必要としてしまっていたのである。

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