1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

産総研、神経細胞の活動を非侵襲的で迅速かつ正確に評価するシステムを開発

マイナビニュース / 2024年7月30日 19時50分

画像提供:マイナビニュース

産業技術総合研究所(産総研)は7月29日、物質中の分子を調べる光技術である「ラマン分光法」と機械学習を応用し、神経細胞の活動を迅速かつ正確に評価するシステムを開発したと発表した。

同成果は、産総研 細胞分子工学研究部門 ステムセルバイオテクノロジー研究グループの赤木祐香研究員、同・木田泰之研究グループ付、同・則元彩テクニカルスタッフらの共同研究チームによるもの。詳細は、化学全般を扱うオープンアクセスジャーナル「Molecules」に掲載された。

蛍光プローブや電極を使わず(細胞や組織にダメージを与える危険性がなく)、計測に手間や時間を要さず(簡便に)、低コストな神経細胞の活動による分子変化を正確に計測できる技術が求められていた。そこで研究チームは、対象物にレーザー光を照射した時に散乱する「ラマン散乱光」から対象物の分子情報を得るというラマン分光法に注目。高速なレーザー光を用いて対象区間の円内をらせん状にくまなく走査でき、なおかつ高感度でラマンスペクトルを取得する技術「ペイント式ラマン分光システム(PRESS)」を開発した。

これにより、レーザー照射時間が短縮化され、細胞への熱ダメージを低減することができるようになったことから、効率的に細胞全体からのスペクトルを取得できるようになったという。そこで研究チームは今回、同技術をさらに発展させ、これまで困難だったリアルタイムでの神経細胞の活動を簡単に評価する技術を開発することにしたとする。

今回の研究では、再生医療での活用を考慮し、iPS細胞から神経細胞を作製し、PRESSにより神経細胞の計測手法を検討することにしたとする。それと同時に、脳や脊髄、末梢系では神経細胞は集団で活動する神経核を形成するため、その集団活動に対しても簡便に計測を行える技術として、PRESSにおけるレーザー光の走査領域を大幅に拡大し、より広い領域から高感度なスペクトルを計測する方法も検討することにしたという。

まず、PRESSが神経細胞の活動を評価できるのかを検証するため、単一の神経細胞を対象にした試験が行われた。計測には、ヒトiPS細胞由来の「グルタミン酸作動性神経細胞」(脳の構成細胞の一種)が用いられた。同神経はグルタミン酸に反応すると細胞内のカルシウムイオン濃度が変化し、電気活動が変化するというものだ。そして、グルタミン酸溶液に反応した神経細胞からラマンスペクトルが取得された。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください