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農工大など、レンズ・プリズム・波長板を統合した超薄型光学素子を開発

マイナビニュース / 2024年7月31日 16時0分

画像提供:マイナビニュース

東京農工大学(農工大)、情報通信研究機構(NICT)、早稲田大学(早大)の3者は7月30日、「メタサーフェス」を利用して、レンズ・プリズム・波長板の3種類の光学素子を1枚の超薄型素子に統合することを実現したと発表した。

同成果は、農工大大学院のPrutphongs Ponrapee大学院生、同・伊藤遼成大学院生、同・青木活真大学院生、NICTの原基揚主任研究員、早大 理工学術院の池沢聡研究院講師、農工大大学院の岩見健太郎准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、光学とフォトニクスに関する全般を扱う学術誌「Optics Express」に掲載された。

原子時計とは、原子のエネルギー遷移を利用した精度が非常に高い時計のことだ。そうした原子時計のうちの1つのルビジウム(Rb)原子時計には、レンズ・回折格子・波長板が用いられているが、組み合わせて利用すると大型化してしまうため、極めて高い時間精度を有するものの小型化することが困難だったという。現在、原子時計の厚みは数cmあるが、それを数mm程度まで小型化や薄型化できれば、スマートフォンへの搭載の可能性すら見えてくるとする。

光を集めたり光の進行方向を変えたりするために使われるのが、レンズやプリズムといった光学素子だ。また光学素子の一種である波長板は、光の偏光状態(振動方向)を変える働きがあり、液晶ディスプレイや光通信に利用されている。光を高度に利用するためには、これらの光学素子を多数利用する必要があるが、1つ1つがガラスや結晶材料で作られるために小型化や薄型化が難しく、また高価になるという課題があった。そこで研究チームは今回、「メタレンズ」に関する研究を発展させ、プリズムと波長板の機能を追加することで、レンズ・プリズム・波長板の3種類の光学素子を1枚の超薄型素子に集積化する技術を開発したという。

光(電磁波)の波長に比べて小さいサイズの誘電体導波路構造を配列することで、自然界には存在しない屈折率や光機能を実現できる機能性表面は、メタサーフェスと呼ばれる。メタサーフェスは、数μm程度の薄さでさまざまな光学的機能を実現できることから、次世代の光学デバイスとして注目されている。このメタサーフェスの考え方に基づいて、誘電体導波路を配列させたレンズがメタレンズである。

またメタサーフェスを構成する微小な構造体のことは「メタアトム」と呼ばれ、今回開発された集積化素子は基板上に半導体の製造プロセスを用いてメタアトムを配列させたものであり、非常に薄型であるだけでなく大量生産も可能な特徴を持つ。

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