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核融合研など、暗いオーロラでも二次元分光観測が可能な特殊カメラを開発

マイナビニュース / 2024年8月6日 6時59分

画像提供:マイナビニュース

核融合研究所(核融合研)と京都大学(京大)は8月2日、核融研の「オーロラ観測プロジェクト」において、分光計測システムを用いたプラズマ観測の技術を駆使して、オーロラの詳細な色を調べることができる観測システム「オーロラ観測用ハイパースペクトルカメラ」(HySCAI)をスウェーデン・キルナに設置して2023年9月より観測を開始し、初観測に成功したことを共同で発表した。

同成果は、核融合研の吉沼幹朗助教、同・居田克巳特任教授、京大 生存圏研究所の海老原祐輔教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、地球惑星科学と関連分野全を扱う学術誌「Earth,Planets and Space」に掲載された。

オーロラは、太陽由来の宇宙から降り込んでくる電子と上層大気の原子・分子との衝突によって引き起こされる発光現象。観測される光の大半は、中性または電離した窒素、酸素の原子の発光線や分子の発光帯で構成されており、遷移するエネルギー準位、分子の振動や回転によって色が決まる。オーロラはタイプによって発光色が異なるが、それがどのような発光プロセスなのかはまだ意見が分かれているという。オーロラの発光過程や色を詳細に調べるためには、包括的(時間的・空間的)なスペクトル(分光)観測が必要だ。

一方、核融合研では、超伝導プラズマ閉じ込め装置「大型ヘリカル実験装置」(LHD)において、磁場中のプラズマからの発光が観測されていた。これまで、その光のスペクトルを計測し、エネルギーの輸送過程や原子、分子の発光過程の研究が行われてきた。研究チームは、その技術と知識をオーロラ観測に適用することで、オーロラの発光の理解、それをもたらす電子のエネルギー生成過程の研究に寄与することができると考えたとする。

従来の光学フィルタを用いたオーロラ観測では、取得できる波長が限られており、その波長分解能が低いことが欠点だった。それに対してハイパースペクトルカメラは、波長分解能の高いスペクトルの空間分布を得ることが可能。そこで研究チームでは、2018年より、LHDでも活用してきた「EMCCDカメラ付きレンズ分光器」に「ガルバノミラー」を用いたイメージ掃引光学系を組み合わせることで、HySCAIを開発する計画をスタート。そして2023年に、1キロレイリー(kR)の暗いオーロラも計測可能なHySCAIの開発に成功したという。なお、kRとはオーロラの明るさの単位で、1kRは天の川の明るさに相当する。

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