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京大、はやぶさ2が2026年にフライバイ観測予定の小惑星の形状を推定

マイナビニュース / 2024年8月5日 19時34分

画像提供:マイナビニュース

京都大学(京大)は8月2日、小惑星探査機「はやぶさ2」の拡張ミッションで2026年7月にフライバイ観測を実施する予定のターゲット小惑星「2001 CC21」によって起こされた恒星掩蔽現象(恒星食)を観測し、新開発のデータ解析技術「DOUSHITE(ドウシテ)」を用いて、同小惑星が細長い形状であることを推定することに成功したと発表した。

同成果は、京大 白眉センターの有松亘特定助教らの研究チームによるもの。詳細は、日本天文学会が刊行する欧文学術誌「Publications of the Astronomical Society of Japan」に掲載された。

恒星食は、太陽系の天体が背景の恒星を覆い隠す際に生じる天文現象だ。月のような見かけ上で大きな天体だけでなく、小惑星のような小天体でも恒星食は発生する。それを複数地点から同時に観測し、恒星が明滅するタイミングを計測することで、その掩蔽した小天体が直接観測では測定が困難なほど小さくても、サイズや形状などを高精度で推定することが可能だ。

恒星食の観測は、以前から主に市民天文学者によって試みられてきた。近年は、恒星食の予報精度の向上、市民天文学者の観測技術の進歩により、従来では影のサイズが小さすぎて捕捉不可能と考えられていた、直径数km以下の小型小惑星の観測にも成功しつつあるという。

一方で、現在はやぶさ2は拡張ミッションを遂行中であり、2031年に小惑星「1998 KY26」に到着する予定だ。そして、その途中の2026年7月に、秒速約5km(時速約1万8000km)という超高速のフライバイ観測を実施する予定であるのが2001 CC21で、すれ違いざまのわずかな時間に、その表面の様子などを探査する予定だ。

2001 CC21の推定直径は約500mと小型で、探査可能な時間も非常に短いため、このミッションを成功させるためには、事前に同小惑星のサイズや形状を把握しておく必要があるという。しかし、これまでの観測では同小惑星のサイズや形状に関する詳細はわかっていなかった。

そうした中、国内外の研究者・および日本の市民天文学者で構成された観測チームが、2023年3月5日に予報されていた2001 CC21による、きりん座に位置する10等星の恒星食現象の観測を日本各地の20地点で実施したとのこと。そのうちの1地点(観測者:滋賀県在住の市民天文学者 井田三良氏)では、掩蔽によるわずか0.1秒程度の恒星の減光の観測に成功したという。1km未満の小惑星の掩蔽観測の成功例はほとんどなく、これは観測史上に残る極めて貴重な成果とされた。

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