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京大、はやぶさ2が2026年にフライバイ観測予定の小惑星の形状を推定

マイナビニュース / 2024年8月5日 19時34分

その一方で、今回は1地点からしか掩蔽観測データを得られなかったため、恒星の明滅のタイミングを複数地点で計測して影の形状を推定するという従来の解析手法では、2001 CC21の形状を推定することは不可能だったとする。そこで研究チームは今回、1地点のみの観測データから同小惑星の形状を推定するための新たな解析手法の開発に着手したという。

今回開発されたDOUSHITEは、掩蔽によって恒星が明滅する際の微細な光度変化に見られる光の回り込み現象の回折効果を正確にモデル化し、観測データと比較することで、天体のサイズ・形状を高精度で推定するというものだ。回折効果は天体のサイズや形状に依存しているため、観測された恒星の光度変化をさまざまなサイズ・形状を仮定したモデル光度変化と比較することで、掩蔽した天体の影のサイズ・形状を推定することが可能になるという。回折の影響は1地点の観測データからでも得られるため、DOUSHITEにより、2001 CC21の形状推定が可能となったのである。

そして解析の結果、2001 CC21の影が細長い形状と推定された。具体的には、観測された光度変動は長径約840m、短径約310mの楕円形の影を仮定したモデルで最もよく再現でき、2001 CC21の影の短軸と長軸の比が約0.37であることが判明した。

今回の研究成果は、はやぶさ2の拡張ミッションにおける2001 CC21へのフライバイ観測において、限られた観測機会を最大限に活用するための基礎データを提供するものだ。今回の研究で得られた形状データは、フライバイ時の観測戦略の最適化に役立ち、科学的な成果を最大化することに寄与しうるとする。

またDOUSHITEを用いた解析は、今後の恒星食観測においても活用できる強力なツールであり、小型の天体や遠方天体の詳細な特性を解明するための新しいアプローチを提供するとのこと。これにより、太陽系内外の多種多様な天体の研究が掩蔽観測を通して進展し、天文学の発展に大きく貢献する可能性がある。

また今回の研究は、市民天文学者とプロの天文学者が協力して成果を上げたことから、シチズンサイエンスの成功事例としても注目されているとしている。
(波留久泉)



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