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北大、機能性材料「柔粘性/強誘電性結晶」の機能チューニング手法を開発

マイナビニュース / 2024年8月5日 19時56分

そこで今回は、溶液からできるだけ急速に結晶を析出させることで、結晶成長の際に化合物が精製される時間を与えないようにしたという。具体的には、2種類のP/FCを溶かしたエタノール溶液に、これらの結晶を溶かさないヘキサンを大量に加え、結晶を短時間で微細な粒子として沈殿させたとのこと。これにより、原料溶液とほぼ同じで均一な組成を持つ固溶体が90%程度の収率で得られたとした。なおこの方法は、(1)と(2)および(1)と(3)の固溶体のどちらにも適用可能で、いずれも、任意の割合で混じり合った固溶体(全率固溶体)の合成に成功したとしている。

研究チームは、このようにして固溶体を作製することで、強誘電体として利用できる上限温度を、100Kという幅広い温度範囲で自由に変更できたとする。そして、強誘電体の温度変化による分極量の変化を示す焦電性をチューニングし、室温における性能の大幅な向上が実現された。また今回(1)の固溶体を作製することで、その焦電特性を柔軟に調整することに成功したという。たとえば、(1)と(3)を8:2の割合で含む固溶体では、室温の焦電係数pが(1)よりも100μCm-2K-1と大きく向上。また、センサ材料としての評価で重要な電圧応答焦電性能指数(Fv)は、固溶体([AH][Re0.8I0.2O4])で0.80m2C-1であり、広く用いられているチタン酸ジルコン酸鉛のセラミックスの10倍以上の大きさとなっている。

今回開発された固溶体の合成方法は、他のP/FCにも適用可能で、これまで数多くのP/FCが開発されている中、それらの固溶体を合成し強誘電体の機能を柔軟に調整することで、純物質では得られない特性を実現することも可能となるという。研究チームはこのように固溶体に着目することで、純物質の持つ特性への依存から脱却し、目的に合わせたオーダーメイドの機能材料を調製する段階に研究開発を進めることが可能とする。それにより、従来用途でのP/FCの実用化に向けて大きく前進すると共に、同物質が持つユニークな特性を活かした、従来材料では不可能だった新しい用途につながることも期待されるとしている。
(波留久泉)



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