大阪公大、肥満は肺がんでの免疫療法で効果が不十分となる可能性を発見
マイナビニュース / 2024年8月6日 14時55分
大阪公立大学(大阪公大)は8月5日、50万人以上の肺がん患者の診療報酬データから、2つの治療法(免疫療法/従来の抗がん剤治療法)と生存期間の関係に対する、ボディマス指数(BMI)の影響を検証した結果、いずれの治療法でも、肥満の患者はBMIが低い患者に比べて肺がんにはかかりやすいが、死亡リスクは逆に低いことが明らかになり、また肥満患者には免疫療法の効果が不十分となる可能性があることも明らかになったと発表した。
同成果は、大阪公大大学院 医学研究科 医療統計学の井原康貴大学院生(大阪市立大学大学院 医学研究科)、同・今井匠特任講師、同・新谷歩教授、同・臨床腫瘍学の澤兼士講師らの研究チームによるもの。詳細は、臨床ケアやヘルスケアなどを含む医療に関する全般を扱う学術誌「JAMA Network Open」に掲載された。
肥満はまさに万病の元であり、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクを増大させることはよく知られているが、非小細胞がんなどのがんの発症リスクの上昇(腫瘍増大)とも関連するという報告がなされている。その一方で、抗がん剤による化学療法を受けたがん患者の生存率は、正常体重のがん患者と比べて高いことも報告されていた。この矛盾は、「肥満パラドックス」として知られており、従来の抗がん剤を受けているがん患者だけでなく、免疫療法を受けているがん患者にも存在するという。また基礎研究において、肥満によって免疫細胞が疲弊し、免疫療法の効果が不十分となる可能性が示唆されていた。そこで研究チームは今回、肥満パラドックスの存在下で、従来の抗がん剤と免疫療法のどちらが肥満がん患者の生存率をより改善するのかを評価することにしたとする。
今回の研究では、メディカル・データ・ビジョンが提供する診療報酬に関するデータベースが用いられた。同データベースには3800万人以上の患者が登録されており、急性期医療機関で治療を受けた患者総数の約23%に相当するという。また、基本的な患者の特徴(年齢、性別、体重、身長)や入院日、疾患、生存状況、個々の医療行為の詳細など、外来および入院医療を包括する日常的に収集された患者情報が含まれているのが特徴。
同データから、免疫療法または従来の抗がん剤を受けた進行性非小細胞肺がん(進行性NSCLC)患者のBMIと死亡リスクを解析した結果、肥満(BMI≧30kg/m2)の患者は、BMIが低い患者よりも死亡リスクが低いことが示された。この結果は、進行性NSCLC患者における「肥満パラドックス」が存在することを示唆しているという。
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
生活習慣が原因の肝がんが増加傾向 - 進化した最新治療と新たな課題とは
マイナビニュース / 2024年7月29日 17時22分
-
がん治療“第4の柱”「免疫チェックポイント阻害薬」製薬会社がセミナー開催
おたくま経済新聞 / 2024年7月29日 13時30分
-
森永卓郎さんは体重減で56キロに…「がん悪液質」で痩せない生活改善を(中川恵一)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月27日 9時26分
-
肺がん患者の寿命が延びた例も…医学界に衝撃が走った〈緩和ケア〉の効果【医師が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月10日 10時0分
-
たばこを吸わない人の「肺がん」増加! 症状がないから大丈夫…と思ってはいけない
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月10日 9時26分
ランキング
-
1『ヘブバン』悪質な脅迫行為により公開生放送が急遽中止―警察と連携の上、法的措置をもって解決に取り組む
インサイド / 2024年8月6日 17時30分
-
2ニコ動の再開直後に「ニコニコ鯖落ち」トレンド入り 「ピークタイムの4倍のアクセス」があったと明かす
ねとらぼ / 2024年8月6日 15時16分
-
3フワちゃん巡る炎上、指原莉乃ら友人にも批判及び大荒れに アンミカが不適切発言に言及「ご迷惑をお掛けします。。」
ねとらぼ / 2024年8月6日 18時19分
-
4ブックオフ、従業員による内部不正を確認 国内24店舗で「架空買い取り」など発覚 社内調査の進捗報告
ITmedia NEWS / 2024年8月6日 18時48分
-
5au/UQ mobile、請求書関連の手数料を10月から順次値上げ
マイナビニュース / 2024年8月5日 16時5分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)