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夏でもクルマが熱くならない? 日産が画期的な塗装技術を開発中!

マイナビニュース / 2024年8月7日 8時0分

画像提供:マイナビニュース

日産自動車が画期的なクルマの塗装技術の開発を進めている。夏場の直射日光が当たっても、車体や車室内温度が過度に上昇しない「自己放射冷却塗装」という技術だ。そもそもどんな技術? これが実用化すれば何がどうなる? 乗用車への適応は? 日産が公開した実証実験を見てきた。

「熱のメタマテリアル」技術とは?

今回の塗装は、モノの温度上昇を引き起こす太陽光(近赤外線)を反射するだけでなく、熱エネルギーを宇宙に放射する「メタマテリアル」技術を活用している。暑い夏でもクルマに熱がこもらないとすれば、エアコンに使うエネルギーの量を減らして燃費や電費を向上させられる。もっと単純な話、夏の日中に屋外駐車したクルマに乗り込む際の、あの「ムワッ」とする感じが抑えられると考えるだけでも、同技術の実用化には期待が膨らむ。

使用する塗料は、放射冷却製品の開発を専門とする「ラディクール社」と共同開発したもの。電磁波、振動、音などの性質に対して、自然界では通常見られない特性を持つ人工物質「メタマテリアル」を採用しているのが特徴だ。「メタ」はギリシャ語で「飛び越えた」、「マテリアル」は「材料」という意味で、直訳すると「超越した材料」ということになる。

今回の塗料に使っているのは、冬の夜間から早朝にかけて起きる「放射冷却」と同じ現象を人工的に引き起こす「熱のメタマテリアル」技術だ。塗料が太陽光を反射するだけでなく、クルマの屋根やフード、ドアなどの塗装面からの熱エネルギーを大気圏外(=宇宙)に向かって放出するという性質を持っている。

具体的には、塗料の中に2種類のマイクロ構造粒子を含ませてある。

1種類目は、太陽光の中で塗装膜内の樹脂の分子運動を引き起こす(つまり熱を発生させる)近赤外線の電磁波を反射するもの。2種類目は、樹脂の温度が上がったときに電磁波を放射し、熱を外に放出するという働きを持っている。これにより、夏の日差しにさらされても車体の表面と内部が熱くなりすぎないという性能が発揮できるようになった。

開発に携わった日産自動車 先端技術・プロセス研究所の三浦進主任研究員によると、放出するエネルギーは大気に吸収されない波長8~13マイクロメーターの電磁波となり、大気圏外に飛んでいく。つまり、この塗料を塗ったクルマがあるからといって、地球の空気を暖めることにはならないのだそうだ。

触って確認! 違いは歴然?

説明会の会場には、自己放射冷却塗装と通常塗装を施した白い板に太陽光を模した光を当て、それぞれの温度上昇を比べることができる装置が置かれていた。表面温度を見ると前者が33.6度に抑えられているのに対し、後者は40.0度まで上昇しており、かなりの差が出ていた。

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