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筑波大など、一時的なストレス時に身体が感じる退屈を数値化する手法を開発

マイナビニュース / 2024年8月15日 7時38分

画像提供:マイナビニュース

筑波大学と長岡技術科学大学(長岡技科大)は8月8日、ストレスを数値化する新たな手法として、「統合情報理論」を用いて生体信号を包括的に評価する方法を開発し、ストレスが退屈している緩徐と強く相関することを明らかにしたと共同で発表した。

同成果は、筑波大 システム情報系の新里高行助教、長岡技科大 技学研究院 情報・経営システム系の西山雄大准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、物理・生命科学・地球科学などの幅広い分野を扱う学術誌「iScience」に掲載された。

ストレスは、自律神経や脳の伝達物質、神経活動、環境などが複雑に絡み合う現象であり、ストレス刺激を受けている時の身体的な変化(客観的生理データ)と主観的なストレス評価はしばしば食い違うことがある。従来の研究では、血圧や発汗、脳波などの単一的な指標を用いてストレス度合いを評価しようとしてきたが、これらは必ずしも安定した結果を提供するものではなかったという。そこで研究チームは今回、近年、脳科学で注目されている統合情報理論を用いて、より包括的なストレス評価に取り組むことにしたとする。

統合情報理論は、本来、多点で測られる脳波のどこがどれくらい「一体」になっているのかを見積もることで、意識の度合いや状態を数理的に評価するために提唱されたものだ。そのため、時間の経過に伴って変化するシステム一般に対して応用できる可能性を秘めているという。研究チームではこれまで、同理論に基づき、身体錯覚の尺度として有用であることなどを示してきたとする。

今回の研究では、ストレス時の身体的変化を測定するため、被験者(男性15人・女性5人・22~30歳・日本人)に難易度の異なる計算課題をパソコン上で30分間解いてもらう実験が実施された。計算課題は一時的なストレスを引き起こすストレッサー(外部刺激)としてよく用いられるもので、難易度により以下の3種類がある。

・低難易度課題:3秒ごとに表示される1桁の足し算を解く
・中難易度課題:1桁の足し算を自分のペースで解く(解答直後に次の問題が表示される)
・高難易度課題:3秒ごとに表示される2桁の足し算を解く

計測対象は、身体状態を特徴付ける自律神経系指標(心拍・発汗の2点)と、脳状態を特徴付ける中枢神経系指標(脳波正中3点)からなる比較的小さな身脳システムだ。課題実施中のこれらの身体と脳の反応に統合情報理論を適用することで、課題の難易度(ストレスの程度)に応じてシステムの統合度がどのような変化をしているのかが調べられた。もし、ストレスがより意識的な作業を伴うならば、身体と脳の相互作用は増加して統合度が高まることを意味しているという。

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