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窓辺の小石 第178回 合成文字のはんらん CHAPTER Ⅰ

マイナビニュース / 2024年8月9日 14時36分

画像提供:マイナビニュース

OpenTypeなどのフォントには「合字」(Ligature。リガチャー)と呼ばれる機能がある。合字とは、並んだ複数の文字を1つの「グリフ(字体)」にまとめたものだ。よく見かけるのは、小文字fの後ろに来る、「i」、「f」、「l」などの組み合わせで、文字間隔を詰める、あるいは文字をつなげる形のものだ。こうした合字は、一般に文字の端に飾り(これをセリフという)のある可変幅(プロポーショナル。文字の間隔が一定でないもの)のフォントで行うのが基本である。合字の有無はデザイン的な判断が行われ、合字を入れるかどうかはフォントのデザイナー(開発者)次第である。

似たような概念に「カーニング」がある。これは、文字の組み合わせによりフォントの間隔を詰め、アキの部分を調整すること。場合によっては、文字を囲む矩形が重なり合うこともある。前述のfiなどの組み合わせでカーニングを行うことがある。このカーニングは、アプリケーションが文字を表示するときの間隔を調整することで行われる。

活字印刷では、文字間の空きを調整することで見栄えをよくすることが行われており、合字は、そのような場合によくある組み合わせの2文字を1つの活字としたものだ。合字は、印刷技術が登場する以前からあったといわれており、デザイン的なものや、早書きのための略号として使われていたらしい。タイプライタの普及などで、合字の利用は廃れたが、コンピューターによる組版が可能になると合字が復活しはじめた。

Windowsの標準フォントであれば、Times New Romanがセリフのあるプロポーショナルフォントで合字がある。これに対してBookman Old StyleやCenturyフォントは、セリフがありプロポーショナルだが合字はない。また、モノスペース(等幅)フォントのCourier Newは、セリフを持つが合字はない(写真01)。

現在では、多数の言語への対応が行われており、文字の位置によって字形が変化するような言語でも、合字に似た機能を使う。こうした機能は、OpenTypeのFeature(特性)として定義されていて、合字も特性として指定できるようになっている。

合字という特性を使うのは、アプリケーションであり、どう表示されるのかは、アプリケーション次第である。誤解が多いのは、合字として表示されるグリフは1つだが、文字コード(コードポイント)のレベルでは、分かれたままであることだ。アプリケーションが、並んだ文字に対して、特性を適用して合字などとして表示するのかどうか、どの位置に合字を表示するのかは、アプリケーション次第である。合字になったとしても、コードポイントとしては、別れているため、ワープロソフトなどではカーソル(カレット)は、コードポイント単位で動き、合字の間に表示される。

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