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知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第174回 レノボ傘下となり“SIMフリー”への再参入を打ち出したFCNTの狙いはどこに

マイナビニュース / 2024年8月9日 15時12分

SIMフリーモデルの方がスペックを向上させているのは、オープン市場でスマートフォンを購入する人達が、低価格と高いパフォーマンスの両立を強く求める傾向が強いことを意識したが故のようだ。実際、オープン市場ではコストパフォーマンスに強みを持つ中国メーカーのシェアが高いだけに、FCNTもそうしたターゲットを狙う上でスペック向上が必要と判断したようだ。
○オープン市場のパイを広げるための参入

レノボ・グループ傘下となる以前のFCNTは携帯大手、とりわけNTTドコモとの取引を重視し、オープン市場へはあまり力を入れてこなかった。だがFCNTのプロダクトビジネス本部 副部長である外谷一磨氏は、今回の2機種を当初から、オープン市場での販売を視野に入れて企画していたことを明らかにしている。

なぜそれだけオープン市場への注力を打ち出しているのかといえば、1つに市場環境の変化が挙げられる。政府によるスマートフォン値引き規制によってメーカー側も携帯各社からの販路に依存できなくなってきており、ソニーやシャープなど他の国内メーカーだけでなく、これまで携帯大手との取引を最重要視していたサムスン電子でさえ、最近ではSIMフリーモデルを投入しオープン市場開拓に力を入れるようになってきている。

2つ目はレノボ・グループの傘下となり、企業体力の面で他社に対抗できるようになったことが挙げられる。FCNTは富士通からの独立後、スマートフォン以外に大きな事業を持たなかったことから規模が小さく、低価格が強く求められるオープン市場で中国メーカーなどと渡り合うのは困難なことからオープン市場での販売には消極的だった。だがその中国メーカーの傘下となったことで、同社がオープン市場でも渡り合える力を得たことは間違いない。

しかしながら外谷氏は、中国メーカーからシェアを奪うためにオープン市場へ再参入する訳ではないとも話している。実際、再参入に当たってIIJと議論をした際にも「今あるパイを食い合うみたいな話だけでは面白くない」という話をしたとのことで、IIJとはオープン市場全体のパイを広げることを目指すことに重点を置いてパートナーシップを組むに至ったとしている。

では、FCNTは何を目指して再参入を打ち出したのか。外谷氏はその理由として、1つに同社の「arrows」のブランドの露出を増やし、ブランドを育てる上でも販路拡大が必要なこと、2つ目としてデバイスに厳しい目を持つ顧客が多いオープン市場での評価を得て、商品力を高めていきたい考えがあるとしている。

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