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理科大、二重螺旋の巻き方向を反転させられる亜鉛単核錯体の合成に成功

マイナビニュース / 2024年8月9日 19時7分

画像提供:マイナビニュース

東京理科大学(理科大)は8月8日、二重螺旋構造を持ち、使用する溶媒を変化させることにより、螺旋の左右の巻き方向を反転させることができる亜鉛単核錯体(二重螺旋型モノメタロフォルダマー)の合成に成功したと発表した。

同成果は、理科大大学院 理学研究科 化学専攻の松村虎太朗大学院生、同・金城圭吾大学院生(研究当時)、理科大大学院 総合化学研究科 総合化学専攻の館野航太郎大学院生(研究当時)、理科大 理学部 第一部化学科の河合英敏教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国化学会が刊行する機関学術誌「Journal of the American Chemical Society」に掲載された。

螺旋構造に折り畳まれた「フォルダマー」は、そのキラル特性や立体構造のスイッチング特性により、刺激応答性のスイッチング分子やキラル材料として注目されている。特に二重螺旋型フォルダマーは、一重螺旋よりも安定で強いキラル特性を示し、さらにはキラル情報の伝達や転写など、高次の構造制御を利用した応用も期待されている。

キラル情報の制御という観点では、キラル反転システムの開発や低分子を対象としたキラリティ制御のための設計指針の確立が重要だ。特に、キラル部位を交換することなく、アキラルな刺激でキラリティを反転させることが望まれている。しかし、低分子や二重螺旋型のフォルダマーにおいて、螺旋の巻き方向を転換することは非常に困難で、二重螺旋における螺旋の反転スイッチングとキラリティの増幅の両立は達成されていなかった。

研究チームは、過去にLの字の形状を有する「ジベンゾピロロ[1,2-a][1,8]ナフチリジン」(以下、L字形ユニット)を含む螺旋フォルダマーが、「重水素化クロロホルム」(CDCl3)中で、螺旋状に折り畳まれた構造を形成することを発見していた。それに基づいて、今回は「2,2'-ビピリジン」により2つのL字形ユニットを連結することで、ビピリジン部位の4,4'位の置換基が異なる3種類の配位子(1a;置換基なし、1b;オクチルオキシ基、1c;(R)-2-メトキシ-2-フェニルエトキシ基)が合成された。そして、それぞれの配位子に「トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛」(Zn(OTf)2)を添加することで、目的とするZn単核錯体([(1a)2Zn][OTf]2(以下、錯体(1))、[(1b)2Zn][OTf]2(以下、錯体(2))、[(1c)2Zn][OTf]2(以下、錯体(3))、[(1b)(1c)Zn][OTf]2(以下、錯体(4)))を合成し、その構造と特性の評価を行ったという。

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