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パリ五輪、テレビ中継にぶつけられた“出演者と競技の選択”の不満――視聴者は何を問題視したのか

マイナビニュース / 2024年8月14日 11時0分

国外開催の五輪では過去最多となる男子218人・女子192人の計410人が出場した以上、そのすべてを放送でカバーするのは不可能。しかし配信では大半をカバーできていたのだから、せめてメダルマッチのときくらいは放送内でそれを案内するなどの“五輪特別対応”が求められている。

次回開催のロサンゼルスは時差がマイナス16時間でパリのマイナス7時間より大きく、リアルタイム視聴の壁はさらに高くなるだろう。配信視聴のニーズがより増すことは間違いなく、思い切った対策が必要になるのではないか。

○4年に1度、再評価される機会に

最後にもう一つふれておきたいのが、報道・情報番組での扱い方。特に午前と午後のワイドショーはこれまでの五輪とほぼ変わらず、自国開催の東京五輪を経たことによる変化を感じさせなかった。

各局横並びの構成であり、どのチャンネルをつけてもほぼ同じ。使用制限いっぱいまで競技映像を使い、OB・OGを招いて解説してもらい、レギュラーコメンテーターたちが語り、最後に今夜の見どころを紹介……各競技を横断的に扱うため起伏や深さはなく、独自色は薄い。

もはや民放各局が“パリ五輪デイリーハイライト”を放送しているように見えてしまうからなのか、「もっと扱うべきニュースがある」という批判の声が散見された。実際、株価や地震などのニュースもあり、各番組の対応に差が現れていたが、目先の数字だけを追うのではなく長期の信頼を得るための工夫がもっとあってもいいのではないか。

また、相変わらず批判的な声が多かったのはコメンテーターたちの存在。専門外でスポーツに興味があるのかすらわからないコメンテーターたちに話を振り、芯のないコメントに留まってしまう。視聴者にとって得るものが少なく、番組の都合を押し付けられるような構成が続いた。

コメンテーターは各界の専門家だからこそスポーツは「あまり興味がない」「見ていない」というスタンスの人もいたほうが自然であり、よほどファンの多いコメンテーターでない限り五輪期間は休んでもらってもいいのかもしれない。またもふだん通りの放送を貫いた『ラヴィット!』(TBS)が称賛されたが、この点でも「現在の視聴者をごまかし切れる時代ではない」ように見えた。

今や五輪のテレビ放送は、高額な放送権料を支払い、多くのスタッフを派遣しているため、その回収に追われるという感が強く、民放各局のテレビマンは必ずしも五輪を歓迎しているわけではないだろう。視聴率獲得という点でのリターンは十分とは言えないこともあって「視聴者ファースト」の放送に振り切れないムードが感じられる。

しかし、これだけ多くの人々がリアルタイムで共有できるコンテンツは他にないだけに、放送と配信をどのように使い分けて視聴者に漏れなく届けていくのか。そして視聴者に「やれることは誠実にやる」「できないことは正直に伝える」という誠実な姿勢を感じさせられるか。それが実現できれば「五輪は4年に1度テレビが再評価される貴重な機会」になるかもしれない。

木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。 この著者の記事一覧はこちら
(木村隆志)



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