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東大などが新たな強誘電性の発現メカニズムを提案、実証にも成功

マイナビニュース / 2024年8月15日 17時10分

一次元磁性体(1)はユニットセル内にMイオンで構成された4本のらせん鎖を内包しており、右手鎖と左手鎖が交互に並んだ構造を持つ。さらにそれらのらせん鎖が右手系は時計回り、左手系は反時計回りに回転しており、全体として4本のらせん鎖が同じ方向に並進している。この状況は研究チームが説明しているネジの運動に酷似しており、今回、発案されたメカニズムで強誘電性が実現している可能性があることに着眼。もし、らせん鎖の回転によって強誘電性が発現しているのならば、回転変位が消失すると、強誘電性も同時に消失することが予想され、研究チームでもSrNi2V2O8(一次元磁性体(2))において中性子粉末回折を用いた構造解析を行った結果、その予想に合致する構造相転移が観測されたとする。これにより、結晶のキラリティと電気トロイダルモーメントの結合に基づく強誘電性発現機構が実証されたとするほか、第一原理計算の結果からも一次元磁性体(2)の自発分極の大きさがこれまで報告された強誘電体と遜色ないことが確認されたともしている。

研究チームによると、注目点としてはd電子を持つ磁性元素であるM=Ni2+、Co2+の系においても、非磁性元素であるM=Mg2+の系でも同様の強誘電性が観測されたことであり、今回の指針が構成元素に依存しないことも実証されたとしている。

なお、今回の成果について研究チームでは、これまで見過ごされてきた組成や結晶構造を持つ物質が強誘電体になり得る可能性を提示するものだとしており、今回の成果をきっかけに、磁性強誘電体はもちろん、導電性を併せ持つ非従来型の強誘電体の物質開拓も加速されることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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