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理研など、日本人に多い痩せ型糖尿病の病態モデル動物の開発に成功

マイナビニュース / 2024年8月16日 14時34分

画像提供:マイナビニュース

理化学研究所(理研)と京都大学(京大)は8月15日、ハムスターの遺伝子を改変した、日本など東アジアに多いやせ型糖尿病モデル動物の開発に成功したことを共同で発表した。

同成果は、理研 バイオリソース研究センター(BRC) 遺伝工学基盤技術室の廣瀬美智子テクニカルスタッフII、同・小倉淳郎室長、BRC マウス表現型解析技術室の田村勝室長、京大大学院 医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学の村上隆亮助教、同・稲垣暢也名誉教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

糖尿病は世界的な問題となっており、日本国内においては、予備軍も含めると推計で2000万人以上が罹患しているとされる。2種類ある糖尿病のうち、食生活などの環境因子と体質(遺伝)の組み合わせで起きるのが「2型」。ところが同じ2型糖尿病でも、西欧では肥満型が多いのに対し、日本を含む東アジアではやせ型が多いことがわかっていた。日本人などの東アジア向けに2型糖尿病の研究を進展させるためには、糖尿病モデル動物が欠かせない。しかし、従来の糖尿病モデル動物の多くは、肥満型だったため、やせ型糖尿病の研究に適していなかったという。

グルコース(ブドウ糖)の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持つホルモンの一種「インスリン」の、細胞内伝達調節因子である「インスリン受容体基質タンパク質2」(IRS2)は、糖尿病の関連因子の1つとして知られている。そこで研究チームは今回、糖尿病モデル動物を開発するため、糖代謝がヒトに類似しているといわれているゴールデンハムスターを用いた「IRS2ノックアウト(KO)ハムスター」の開発を試みることにしたという。

今回の研究では、卵管内ゲノム編集法「i-GONAD法」を用いて、IRS2KOハムスターの作出が試みられた。1匹の作出に成功し、その個体を用いた交配により、「IRS2 KO系統」が樹立された。ヒトなどのほ乳類の場合、性染色体を除いた常染色体上の遺伝子は、2つの相同染色体上にそれぞれ1つずつの遺伝子座があるため、遺伝子の機能を完全に消失させるためには、両遺伝子座を欠失させる必要がある(それをホモ型KOといい、片方のみはヘテロ型KOという)。今回作出されたホモ型KOハムスターは、ヘテロ型KOおよび野生型ハムスターと比べ、生後から継続的に低体重を示すことが確認された。またホモ型KOハムスターは、血糖値および過去1~2か月の血糖値を反映するとして、検査でも重要視される「HbA1c」(ヘモグロビン・エーワンシー)が野生型に比べて有意に高くなっていることも明らかにされた。

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