理研など、日本人に多い痩せ型糖尿病の病態モデル動物の開発に成功
マイナビニュース / 2024年8月16日 14時34分
さらに、体内のグルコース代謝を見るため、3種類の試験が行われた。まず「グルコース負荷試験」では、ホモ型KOハムスターはヘテロ型KOや野生型ハムスターと比べ、血中グルコース値の上昇が有意に高くなり、グルコースを投与してから120分後まで高値で推移したという。その一方で、インスリン投与に対する「インスリン耐性試験」では、ホモ型KOハムスターは正常に反応したとする。またグルコース投与による「インスリン分泌試験」では、ホモ型KOハムスターはインスリンレベルが上昇しないことがわかった。これらの結果から、ホモ型KOハムスターでは、インスリンを分泌するすい臓のβ細胞の機能が不十分であることが示唆されたとした。
そこで次に、組織免疫染色を用いてβ細胞が調べられると、ホモ型KOハムスターでは、インスリン陽性細胞の相対的面積が有意に減少しており、β細胞を含むすい島もヘテロ型KOハムスターに比べて小さくなっていることが突き止められたという。
最後にすい臓からすい島が分離され、インスリン分泌試験が行われた。ホモ型KOハムスターのすい島当たりのインスリン分泌量は有意に低く、インスリン含有量も低いことが判明。すい島細胞当たりのインスリンの分泌量と含有量が低下していることが突き止められたのである。これらの結果は、ホモ型KOハムスターのβ細胞の機能不全を示すものであり、体内グルコース代謝試験の結果を裏付けているとした。
今回作出されたやせ型糖尿病モデルハムスターは、1つの遺伝子機能が失われているだけのため、野生型ハムスターを実験対照(コントロール)として用いることで、信頼性の高い実験が実施可能とする。同モデルの欠点は、胎児時から全身で遺伝子機能が欠損しているため、出生前後に死んでしまう個体が多いことだという。今後、遺伝子改変の工夫により発症を遅らせたり、遺伝子機能の欠損を特定の臓器に限定したりすることで、さらに研究開発に適した糖尿病モデルに改良されることが期待されるとしている。
(波留久泉)
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