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懐かしい記憶をポジティブに感じやすい人は人生の“統合”が高まる - 京大の研究

マイナビニュース / 2024年8月19日 11時21分

画像提供:マイナビニュース

京都大学(京大)は8月16日、国内の成人600名を対象に1年間のインターネット調査を2回実施し、“懐かしい記憶”を思い出した時に、ポジティブ/ネガティブな感情の感じやすさの個人差が、「世代性」や「統合」とどのように関係するのかを検証した結果、ポジティブ傾向性の高さ、およびネガティブ傾向性の低さは、統合の高さを予測することが判明したと発表。さらに、懐かしさの機能とされる、社会的結びつき・自己の時間的連続性・人生の意味・自己の明確化との関連を解析した結果、懐かしさのポジティブ傾向性が高い人は社会的つながりを強く感じ、統合が高まっていることが示されたことを併せて報告した。

同成果は、京大大学院 教育学研究科の楠見孝教授、同・豊島彩研究員(現・島根大学 人間科学部 講師)の研究チームによるもの。詳細は、老化と高齢者に関する心理学と社会的研究を扱う学術誌「The International Journal of Aging and Human Development」に掲載された。

「アイデンティティ(自己同一性)」という用語の生みの親として知られる、20世紀の米国の心理学者であるエリク・ホーンブルガー・エリクソン博士。同博士による「発達課題理論」では、人生は8つの段階に分けられ、各段階における発達課題が設定されている。第7段階の壮年期(40~64歳)で設定されているのが世代性で、第8段階の老年期(65歳~)では統合だ。これらは高齢期の幸福感と正の相関があり、発達課題の達成は高齢期の心理的適応に関連すると考えられている。

なお世代性とは「次世代を確立し導くことへの関心」とされ、壮年期は若い世代を育成することに興味関心が高まる年代とされている。そして老年期では、個人が自分の人生を振り返り、満足感や後悔を感じることがある。過去を受け入れ現在と統合できると、人生の意味を見出し、知恵を感じることができるが、そうでない場合は絶望を感じるとされる。

一方、懐かしさの感情に関する研究では、高齢になるほど、過去の懐かしい記憶を思い出した時にポジティブな感情を伴いやすくなることが報告されている。懐かしい記憶の中には思い出すと悲しい気持ちになるものもあるが、高齢になるほどネガティブ感情を伴う傾向も弱くなるとされている。懐かしさの感情には、社会的な結びつきや人生の意味を感じさせるといった心理的機能があり、それらが発達課題の達成に影響を与えていることが考えられるという。そこで研究チームは今回、懐かしさのポジティブ傾向性の高さ、またはネガティブ傾向性の低さは、その後の発達課題(世代性・統合)の達成度を高めるという仮説を検証したとする。

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