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懐かしい記憶をポジティブに感じやすい人は人生の“統合”が高まる - 京大の研究

マイナビニュース / 2024年8月19日 11時21分

今回の研究では、国内に居住する成人600名を対象にインターネット調査が2回実施され、1回目の調査の状態が、1年後に実施された2回目の調査の状態に及ぼす影響についての解析が行われた。その際、1回目の心理状態や年齢、性別といった交絡要因の影響が加味され、因果的な影響を検証する手法が用いられた。

解析の結果、1回目の調査時のポジティブ傾向性の高さ、およびネガティブ傾向性の低さは、2回目の調査の統合の高さを予測することが確かめられたとのこと。さらに、懐かしさの機能とされる、社会的結びつき・自己の時間的連続性・人生の意味・自己の明確化との関連を解析した結果、懐かしさのポジティブ傾向性は4つの機能すべてと関連が見られたが、統合に影響を与えていたのは社会的つながりだったとする。加えて、懐かしい記憶を思い出す時、ポジティブ感情が高まる傾向は社会的繋がりを強く感じさせ、その結果、統合が高まることが示されたとし、また懐かしさのネガティブ傾向性の低さも社会的つながりの感じやすさと関連しており、同様の効果が確認されたとした。

世代性については、1回目の調査時の世代性が2回目の調査の懐かしさのポジティブ傾向性の高さとネガティブ傾向性の低さを予測しており、仮説とは逆の結果が得られたとのことだ。

高齢者を対象とした心理療法の中には、懐かしさの感情による心理的効果を用いた「回想法」がある。今回の研究の成果は、回想法の仕組みの理解を深めることに貢献することが期待されるという。さらに、今回の研究では高齢者以外の若い世代でも同様の傾向が確認されたため、回想法によるアプローチが高齢期以外の世代にも広まる可能性が示されているとする。

研究チームによると、壮年期の発達課題である世代性について、因果関係の方向が想定と逆の結果となったことは、今回の研究結果からは直接解釈できないが、世代性が高くなると、過去の懐かしい思い出をよりポジティブに捉えるようになることも考えられるという。そして今後、なぜこのような結果が得られたのか、質的な調査もしながらさらに踏み込んでいきたいとしている。
(波留久泉)



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