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東大など、水素を活用してポリウレタンを選択的に分解する触媒を開発

マイナビニュース / 2024年8月19日 12時0分

画像提供:マイナビニュース

東京大学(東大)と科学技術振興機構(JST)の両者は8月9日、独自に開発した触媒により、水素分子を用いて「ウレタン」を選択的に分解できることを明らかにしたと共同で発表した。

同成果は、東大大学院 工学系研究科の野崎京子教授、同・岩﨑孝紀准教授、同・山田悠斗大学院生、同・内藤直樹技術補佐員(現・ハーバード大学 大学院生)らの研究チームによるもの。詳細は、「Journal of the American Chemical Society」に掲載された。

カルボニル化合物の中でもウレタンは特に安定しており、分解しにくいことから、廃プラスチックのケミカルリサイクルにおいてもしばしば問題となる。そのため、他のカルボニル基を分解することなくウレタン結合を選択的に分解するケミカルリサイクル手法の開発が望まれていたという。

そうした中で研究チームはこれまで、カルボニル化合物の中でもウレタンと並んで分解が困難な「ウレア」に水素を付加させることで、「ホルムアミド」と「アミン」へと分解する触媒を開発してきた。同触媒は、ウレタンや、ウレアよりも反応性の高い「エステル」や「アミド」に対しては、水素を付加しないことが特徴の1つだった。そこで今回の研究では、これまでの成果を活用し、ウレタンのケミカルリサイクル手法の開発を試みたとする。

研究ではまず、独自に開発したリンと窒素を含む配位子とイリジウムからなる触媒に対し、適切な塩基を組み合わせて用いると、ウレタンの水素化分解によってホルムアミドとアルコールが選択的に得られることが確認された。この結果は、従来の水素化分解ではウレタンからアミン、メタノール、アルコールが得られることとは対照的に、ウレタンよりも反応性の高いアミドの一種であるホルムアミドが得られることに特徴があるという。アミンとメタノールにまで分解が進んでしまうと、新たな素材の原料として使用する際の汎用性が低くなってしまうが、ホルムアミドとして取り出せれば、リサイクルにおけるコストの削減が期待できるとのこと。さらに、ウレタンに1分子の水素が付加した際に、炭素-酸素結合の切断と、炭素-窒素結合の切断の2通りの反応が考えられる中で、今回の触媒は炭素-酸素結合を優先的に切断するとしている。

ポリウレタンはその製造方法によって、ウレタン結合に加えて、低反応性のカルボニル化合物であるウレア結合や、環状構造の「イソシアヌレート環」が含まれているため、ケミカルリサイクルを実現するためには、それらも分解する必要がある。そこで今回開発された触媒をウレア結合やイソシアヌレート環の分解に用いたところ、ウレタン同様にカルボニル基を損なうことなく分解生成物が得られたとする。

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