1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

東大など、水素を活用してポリウレタンを選択的に分解する触媒を開発

マイナビニュース / 2024年8月19日 12時0分

次に、ポリウレタンのモデル分子を用いて水素化分解が検討された。すると、一般的なイソシアネートモノマーと「ジオールモノマー」の組み合わせにおいて、「ジホルムアミド」とジオールが分解生成物として得られたという。なお特筆すべきことに、ポリエステルポリオールのモデルとしてエステル結合を含むジオールモノマーから調製されたポリウレタンの分解においても、エステル結合を損なうことなくウレタン結合が選択的に切断され、ジホルムアミドとジオールが分解生成物として得られたとした。

また、ポリウレタンと組み合わせて用いられる樹脂材料との反応性を比較するため、ポリエステルおよびポリアミドのモデル化合物とウレタンとの混合物の水素化分解を検討した結果、本来なら反応性の高いエステルおよびアミド化合物よりも、ウレタンの方が優先的に水素化分解されることが確かめられたという。

さらに、市販のポリウレタンフォームの水素化分解も検討されたところ、水素分子の付加によってウレタン結合が切断され、ケミカルリサイクルが容易な化合物へと分解できることが解明された。

研究チームによると、今回開発された触媒による、水素分子の付加によってポリウレタンを分解する手法は、重要な社会課題である廃プラスチックの資源循環のための新たな手法と成り得るものだといい、自動車のシートなどに使われるポリウレタンの新たなケミカルリサイクル手法として、日本の主要産業の持続可能性向上に寄与することが期待されるとする。また、マットレスや建築用断熱材など、身近に利用されていながらリサイクルが困難なポリウレタンのケミカルリサイクルの実現につながる可能性もあるという。

加えて今回の触媒は、エステルやアミドといった一般にウレタンより反応性の高いカルボニル基が混在しても、ウレタンを選択的に分解するという点が大きな特徴だ。この特徴を利用することで、混合廃棄物からポリウレタンのみを選択的に水素化分解してモノマーを回収しつつ、ポリエステルやポリアミドは分解せずにポリマーとして回収するという、新たなリサイクル方法の開発につながることも期待されるとしている。
(波留久泉)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください