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理研、がんなどの疾患に関与する「DNAメチル化」を制御する仕組みを解明

マイナビニュース / 2024年8月20日 11時34分

画像提供:マイナビニュース

理化学研究所(理研)は8月15日、さまざまな生命現象やがんや免疫不全などの疾患に関与している「DNAメチル化」を制御する仕組みの一端を解明したと発表した。

同成果は、理研 開拓研究本部 眞貝細胞記憶研究室の新海暁男上級研究員、同・志村知古テクニカルスタッフI、同・福田渓客員研究員、同・眞貝洋一主任研究員らの研究チームによるもの。詳細は、核酸に関する全般を扱う学術誌「Nucleic Acids Research」に掲載された。

DNAメチル化とその制御機構を解明することは、生命現象や疾患の理解につながると考えられている。そして、その制御を司っていると考えられてきたのが、「HELLSタンパク質」と「CDCA7タンパク質」の複合体である「HELLS-CDCA7」(以下、同複合体)。しかし、その分子機構が不明だったことから、研究チームは今回、2種類あるDNAメチル化のうち、両側鎖がメチル化されているDNAが複製される際にできる、メチル化されていない片側(新生)鎖がメチル化される「DNA維持メチル化」の制御に対し、同複合体がどのように関与しているかを解明することにしたという。

CDCA7のC末端側には「ジンクフィンガードメイン」(ZnF)と呼ばれる領域が、中央部にはα-ヘリックス構造を形成していると予測される領域があり、免疫不全の一種の「ICF症候群」では、ZnF内に変異(ICF変異)がある。そこで、HELLSの活性化に対するCDCA7の各領域の機能の解明が試みられたところ、中央部領域がHELLSの結合と活性化に重要であること、N末端の領域が活性を負に調節していることが判明。さらに、ZnFが欠損すると、ヒストンが片側方向に偏って移動していたのが、両方向に移動するように変化する傾向が観察された。この領域はヌクレオソームまたはDNAの正確な認識に関与していることが示唆されるという。

DNAは、同複合体のATP加水分解活性を促進することから、次に、同複合体のATP加水分解活性に影響を及ぼすメチル化DNAが調べられた。

すると、HELLS-野生型CDCA7は、片側鎖だけがメチル化されている「ヘミメチルDNA」の存在下で最も高いATP加水分解活性を示したという。一方、CDCA7のC末端ZnFを欠失させた場合と、ZnF内に変異を持つICF変異CDCA7の場合(以下、(1))では、どのDNAの存在下でも同程度のATP加水分解活性を示したとする。他のICF変異体を用いた場合も(1)と同様の結果だった。

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