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吉川明日論の半導体放談 第310回 データセンター市場で明暗分かれるAMDとIntelの決算

マイナビニュース / 2024年8月20日 6時35分

画像提供:マイナビニュース

AMDとIntelの第2四半期の決算発表は永年のライバルである両社の現状をはっきり示す結果となった。

通常はIntelの決算があってその翌週にAMDというパターンなのだが、今回はAMDが7月30日に発表、3日後にIntelの発表と順序が逆になった。AIアクセラレーター「MI300シリーズ」の好調ぶりを強調するAMDに対し、Intelは経費削減策の発表などもあり、発表日が逆転した背景にはIntel側で相当な社内調整が必要だったのだろうと察する。明暗を分けたのはデータセンター市場での両社のパフォーマンスだ。
データセンター分野の売り上げでIntelにほぼ並んだAMD

かつてIntelはXeonに代表されるサーバーCPUの圧倒的な強さでデータセンター市場を掌握していた。Intelは群雄割拠であったメインフレームCPUの半導体市場をx86アーキテクチャーで塗り替えることにより、半導体市場で最も利益率の高いサーバー用CPUというセグメントを創造し、世界最大の半導体企業に成長した。この市場セグメントでのIntelの圧倒的な強さは、サーバーにぶら下がる企業用クライアントPC市場でのIntelのポジションも確固たるものとした。

私自身、AMD勤務の多くの部分がこのIntelの鉄壁の構えに対し挑戦することの繰り返しであったが、その道のりはかなり厳しかった。それから20年、今回の両社の決算発表では、データセンター市場での売り上げはIntelが30億ドルに対し、AMDが28億ドルとほぼ並んだ。両社の現状を浮かび上がらせる象徴的な結果となったと思う。Intelの下半期の予想もかなり弱含みで一時Intel株は25%以上下落し、世界のハイテク株全体に影響を与えることとなった。

両社の売り上げを詳しく見ると、Intelのデータセンターでの売り上げは前年同期比で3%のダウンに対し、AMDは2倍以上の売り上げを記録した。こうした急激な伸びは昨年後半から今年にかけてNVIDIAが記録した伸びと同じ動きで、規模にはまだ大きな開きがあるが、AMDがAIデータセンター市場で着実に地盤を固めている証拠と言っていいだろう。

かつてのデータセンター市場はCPUノードが圧倒的な割合を占めていたが、生成AIの登場でAIワークロードを高速処理するGPUノードが急激に増えた。その市場をほぼ独占するNVIDIAのAIアクセラレーターの単価はCPUよりもはるかに高く、利益率も大きく違う。この違いは各社の利益率、NVIDIA(78%)、AMD(49%)、Intel(35%)を見れば一目瞭然だ。AMDがNVIDIAに対抗するべく市場投入を始めたAI製品群、MI300シリーズは徐々に市場に受け入れられている状況だが、IntelがNVIDIA製品よりも性能が高いと謳うGaudi製品群の売り上げ貢献は第3四半期以降になるという。

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