『音が出たら負け』はなぜ3年半ぶりに復活したのか――『逃走中』『学校かくれんぼ』に見るゲームバラエティの可能性
マイナビニュース / 2024年8月21日 11時0分
そもそも同番組は「ゲーム中はほとんどしゃべらないため、飛沫の不安がない」というコロナ禍に対応した企画だった。それをコロナ禍が落ち着いた今、復活させたのは、やはり「これだけ無音の状態が続く番組はない」というオリジナリティが大きかったのではないか。
●年齢やスキル不問でキャスティング
ゲームバラエティそのものにスポットを当てると、最大の強みは現在、民放各局が最も求めるコア層の個人視聴率獲得が期待できること。特に『逃走中』がそうであるように、若年層やファミリー層から支持を得やすく、成功させられればスポンサー収入につながりやすい。
それは裏を返せば、「ゲームは老若男女が理解できるわかりやすさが求められる」ということ。その点、『音が出たら負け』は番組名もゲームのコンセプトも幼児ですらわかるレベル。そのため年齢や性別だけでなく、頭の良さ、身体能力、トーク力なども不問で、活動ジャンルを超えて幅広くキャスティングできることが強みだ。
実際、今回の放送でも、若手女優の吉川愛、志田彩良、山下美月、生見愛瑠から、アイドルのなにわ男子、&TEAM、M!LK、FRUITS ZIPPER、芸人のオードリー・春日俊彰、マヂカルラブリー、ハナコ、やす子、若手アーティストのヤングスキニー、声優の宮野真守、人気子役の永尾柚乃、八村塁の弟・八村阿蓮、長州力、中澤佑二、和泉元彌、富栄ドラム、安斉星来など総勢54人がゲームに挑んだ。
それぞれのファンが視聴率の確保につながるほか、「成功か失敗か」とハラハラドキドキしながら見るためSNSの反響も期待大。真剣な顔から、笑顔、悔しい顔などのさまざまな表情が見られること、さらにクイズ番組などより映像に動きがあることもゲームバラエティの魅力と言っていいだろう。
次に日テレの特番そのものに注目すると、これといったものがないことに気づかされる。レギュラー放送のバラエティは他局を上回っている反面、特番は視聴率が獲れないという状態が続いてきた。
特に今夏は一昨年、昨年とお盆に高視聴率を記録した『ダウンタウンvs Z世代』が松本人志の活動休止により放送が見送られるという逆境もあり、1つでも新たなヒット特番が欲しいところではないか。
○なかなか成功しないゲームバラエティ
確かに『逃走中』は大みそか特番が定番化したほか、映画も現在公開中など、一定以上の成功をしていると言っていいかもしれない。
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