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自筆遺言書に潜むリスクとは? 実際にあった、京都のお家騒動から学べること

マイナビニュース / 2024年8月27日 11時0分

第一審は敗訴でしたが大阪高裁の控訴審で逆転勝訴に。最高裁まで争われた結果、長男の上告棄却により、2009年に「第二の遺言書」の無効と、株主総会での信三郎・恵美夫妻の取締役解任決議が取り消されることになりました。商標権侵害の賠償訴訟も棄却され、2011年には晴れて信三郎さんによる「一澤帆布」ブランドが復活。

現在は一澤信三郎帆布として、無地の純綿帆布を使った「信三郎帆布」、本麻帆布や図柄をあしらった「信三郎布包(かばん)」、職人向け道具入れのような昔ながらの「一澤帆布製」の三種類が京都市東山区の店舗で販売されています。
○「遺言自由の原則」とトラブルを作らない工夫

この事例で、自筆証書遺言は気軽に残すことができるが、関わる人間や状況によっては危うい存在となることがわかります。実際、本件の筆跡鑑定では、京都府警科学捜査研究所と魚住和秋氏では異なる結果になりました。

鑑定時期によっては、墨やインクの滲みや擦れの消失など文字も変化して癖が見えにくくなることもあります。ですから、遺言書や相続に関わる士業は、特定の状況でない限り(ご本人の体調が芳しくなく時間がかけられない場合など)は、なるべく公証役場で作成後保管してもらえる公正証書遺言をおすすめしているのです。

こうしたお話をすると「うちには残すほどの財産なんてないから」と仰る方が必ずいらっしゃいます。「遺言自由の原則」は保証されているので、「遺言する・しない」や「変更や撤回をする・しない」はもちろん、今回お話してきた「自筆証書遺言か・公正証書遺言か」の選択も自由です。

ただし、相続の問題においては、恐らく金額の大小はほぼ関係ありません。問題になるのは、相続人間における、相続物の分配や動産か不動産かに関係することだからです。

昨今、公正証書遺言を残すことの重要性が頻繁に説かれるのは、こうした問題を少しでも減らすためです。そして、今回ご紹介したような訴訟問題を生まないためにも、よく検討して遺言書を作成していただきたいと思います。

行政書士/木村早苗 きむらさなえ 1975年滋賀県生まれ。立命館大学大学院卒業。出版社勤務を経てフリーランスライターとして幅広い分野で執筆する。2020年に地元にUターンし、2024年に行政書士登録。川木清事務所を開設し、障害福祉サービス施設申請業務や遺言書作成や相続サポートを専門に活動中。「川木清(かわきせ)」とは曾祖父の代から使われてきた目印。ねこと音楽と洋裁が好き。 この著者の記事一覧はこちら
(行政書士/木村早苗)



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