1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

NTT、測定器なしで光ファイバ伝送路の状態を可視化できる技術を開発

マイナビニュース / 2024年8月21日 7時15分

IOWN APNのように、遠隔の顧客拠点間を光のままで接続する場合には、光ファイバ伝送路の監視範囲を、顧客拠点にまで拡大する必要があるため、複数組織にまたがる光ネットワークの場合には、NTTが管轄外となるネットワークの状態を確認することが困難であるという課題に直面していた。

「今回の技術では、光トランシーバに到達する受信信号だけを解析することで、光伝送路全長において光信号パワーが、どんな分布になっているのかを明らかにできる。顧客のネットワークを含めて、一括での測定が可能になり、遠隔から指令を送るだけで、数分で測定を完了することが可能になる。専用測定器を用いなくても、異常位置の特定ができる」と説明した。

一般的に、システムの入出力波形から、システム内部の分布パラメータを推定する逆問題は、「非適切問題」と呼ばれ、解くのが困難である。NTTでは、光信号が光ファイバ中を伝搬する様子が、非線形シュレディンガー方程式に従うことに着目。同方程式の制約条件を課した受信波形データ解析技術を活用して、この方程式を模擬するデジタルツインを構築。デジタル上で信号を伝搬させることで得られたデジタルツイン信号の状況と、実際の受信信号から、類似度を計算。類似度が最大となるように光パワー分布を推定することで、高速に、高精度に可視化することができたという。

また、この技術を、距離方向だけでなく、偏波、周波数、時間の3つの方向にも拡張することで、4次元での光パワーモニタリングを可能にしたという。これにより、複数の伝送路での異常を検出し、位置を特定できるという。

偏波方向では、非線形シュレディンガー方程式を、マナコフ方程式に拡張することで、水平偏波と垂直偏波のそれぞれの光パワー分布を可視化。この2つの偏波状態を可視化することによって、従来は可視化が不可能であったため、光伝送路における課題となっていた偏波依存損失の位置を特定できる。

また、光パワー分布推定を、複数の波長分割多重(WDM)信号を使って実施することで、周波数方向でも可視化。光増幅器の周波数特性の異常による位置の特定や、次世代の広帯域光伝送システムにおいて顕在化するラマン散乱による信号間の光パワー遷移を、詳細にモニタリングできるようになる。

時間方向では、高速波形取得機能を光トランシーバに実装することで、連続的に波形を処理することが可能になり、時間分解を実現。光ファイバ伝送路中で発生した光パワーの時間変動の発生箇所を特定できる。たとえば、作業者が光ファイバに触ってしまい、光ファイバそのものに曲げ損失が発生した場合などを可視化し、位置を特定することができるという。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください