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暑さによる健康リスクには湿度も大きく影響する - 東大が世界規模調査で解明

マイナビニュース / 2024年8月21日 11時38分

画像提供:マイナビニュース

東京大学(東大)は8月20日、43の国と地域における739都市を対象に、湿熱(湿度と気温)と死亡リスク(湿熱環境での健康影響)を調査する世界規模での研究を実施した結果、気温に加えて湿度を考慮した湿熱指数は気温単独の場合と比べて、米国の沿岸部や五大湖地域およびペルー、韓国、そして日本において死亡リスクと高い関連を示すことが明らかになったと発表した。

同成果は、東大大学院 工学系研究科の沖大幹教授、東大大学院 医学系研究科の橋爪真弘教授、同 キム・ユンヒ准教授、東大大学院 工学系研究科のゴー・チャン大学院生(現 東大大学院 医学系研究科 特任研究員)、東大大学院 工学系研究科の木野佳音助教、東大 生産技術研究所の芳村圭教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国科学アカデミー紀要「PNAS」の姉妹誌で科学の幅広い分野を扱う学術誌「PNAS Nexus」に掲載された。

日本では、国土交通省気象庁と環境省が共同で、2021年から全国で「熱中症警戒アラート」を発表している。同アラートは「暑さ指数」の予測に基づくもので、この指数は「湿球黒球温度」とも呼ばれ、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)が着目された指標だ。人体の熱収支に与える影響の大きい「湿度」「日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境」「気温」の3つが考慮され、日常生活では25未満は注意、25以上28未満で警戒、28以上31未満で厳重警戒、31以上で危険とされる(運動時はまた異なる)。ただし、簡便さと観測や予測のしやすさから、熱中症および高温警戒情報に気温を予測指標として採用している国や地域も多いという。

しかし人間が感じる熱ストレスは、気温、湿度、風速、太陽放射など、複数の気候変数によって影響を受ける。近年、湿熱(または人間が感じる熱ストレス)への関心が高まっているが、異なる気候条件の各地域における熱中症警戒情報にどのような気温や湿度に基づく指標(湿熱指数)を用いるのが効果的であるのかについては、依然として分野の異なる研究者の間で意見が分かれており、喫緊の課題となっているという。この課題を探るために研究チームは今回、世界43の国と地域、739都市を対象に、世界最大規模の調査を行ったとする。

具体的には、日別死亡データと気象再解析データを利用し、湿球温度、湿球黒球温度、熱指数といった複数の湿熱指数と夏季の日々の死亡リスクとの関連について、各都市ごとに検証が行われた。湿熱指数が年間で最も高い10日間について、過去40年間にわたる評価を行った結果、湿熱指数によって熱ストレスが高い時期が異なることが判明。このことは、熱中症警戒情報の正確性と有効性を高めるため、適切な湿熱指数の選択が極めて重要であることを示唆しているという。

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