暑さによる健康リスクには湿度も大きく影響する - 東大が世界規模調査で解明

また今回の研究では、時間の経過とともに変化する要因と結果の関係を解析するための統計モデルである「Distributed Lag Non-linear Model」を用いて、さまざまな湿熱指数と日々の死亡データとの関連が分析された。さらに、各都市の気候や社会経済的指標が組み合わされ、異なる湿熱指標の性能に地域差が生じる要因も解析された。その結果、湿熱指数、中でも湿球黒球温度は、伝統的に指標として広く用いられてきた気温のみと比べ、特に米国の沿岸部や五大湖周辺地域、ペルー、韓国、そして日本において死亡リスクと高い関連を示すことが突き止められたとした。これは、これらの地域において気温と湿度の間の相関関係が弱いためであることも明らかにしたとする。

研究チームは今回の研究成果について、日本においては気温と共に湿度も高い日に熱中症のリスクが高くなり、日本の熱中症警戒アラートで用いられている湿球黒球温度が、指標として有用であることを支持する強固な科学的裏付けを提示するとしている。
（波留久泉）