1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

東北大、金星大気高層において重水素を含む水が劇的に増加することを確認

マイナビニュース / 2024年8月21日 15時54分

今回の研究により、H2OとHDOの濃度は、高度70~110kmの間で高度と共に増加することが示された。これらの高度ではHDO/H2O比が顕著に10倍以上も増加し、現在の地球の海洋で見られる比率の1500倍以上に達することが明らかにされた。

この測定結果を説明するために提案されたのが、大気中の硫酸エアロゾルの凝結・蒸発による「同位体分別」(相変化や化学反応を通して物質中の同位体比が変化すること)を含めた新しいメカニズム。まず、硫酸エアロゾルが高度70km付近の低温領域で凝結により生成され、硫酸は非常に高い吸湿性を持つので水も一緒に凝結される。さらにこの時、同位体分別の影響によってエアロゾルのHDO/H2O比は大気中よりも高くなるという。そして、それらのエアロゾルは大気の拡散過程により上層に輸送される。上層では大気の温度が急激に高くなるので、エアロゾルは蒸発。この時、エアロゾルから大気に供給される水蒸気は同位体分別の影響を受けてHDO/H2O比が高くなっているので、大気中のHDO/H2O比の増加をもたらす。最終的に、エアロゾルから供給された水蒸気が拡散によって下方に輸送されることで水循環が成立するとした。

なお今回の研究成果は、大気中の水蒸気量およびその同位体の高度変化を理解することが重要であることを示しているという。高高度帯でのHDO/H2O比の上昇は、重水素と水素の大気散逸の効率に影響を与え、重水素/水素比の長期的な進化に影響する。また今回は、これまでは考慮されてこなかった硫酸エアロゾルの効果が、HDO/H2O比を説明するために重要であることも示唆された。そして、新たに提案された金星大気中の水循環は、大気散逸を含んだ将来の気候進化モデルに組み込むことができ、金星が過去に湿潤だったか乾燥していたかを再評価することにつながるとする。これにより、金星の過去のハビタビリティに関する理解が深まることが期待されるとしている。
(波留久泉)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください