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知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第175回 スマホ値引きの次は「SIMのみ契約」へのキャッシュバック、総務省は規制に動くか

マイナビニュース / 2024年8月21日 16時44分

実際KDDIの代表取締役社長である高橋誠氏は、2024年8月2月の決算説明会で、メインブランドの「au」とサブブランドの「UQ mobile」を合わせた解約率が上昇傾向にあるが、auブランドの解約率は低水準を維持していると説明。UQ mobileの解約率が高まっているとしており、その理由として「SIM単体の契約が結構左右しているように思う」と答えている。

またソフトバンクの代表取締役社長執行役員兼CEOである宮川潤一氏も、2024年8月6日の決算説明会で「SIMのみ契約して短期間で乗り換える人が一定数いる」と回答、それが解約率を押し上げている要因となっていると説明。「SIMだけ契約してインセンティブをもらって、それを半年や3ヵ月など、短期間で(乗り換えて)回る顧客が見られる」とも話しており、キャッシュバックを目当てとした乗り換え行為が、各社の解約率を押し上げているようだ。

そうした行為が楽天モバイルの契約を伸ばしているという見方もあるようで、高橋氏は「データ容量が少ない、SIM単体(契約者)の流動が少し楽天モバイルに出てるかなという感じはする」と話している。とりわけ楽天モバイルは現在、既存顧客からの紹介で契約することにより、紹介した側とされた側の双方にポイントが入るキャンペーンを実施している。SIMのみ契約でポイントを獲得した人が、紹介キャンペーンによるさらなるポイント獲得先として楽天モバイルに乗り換えている可能性も考えられそうだ。

キャッシュバックなどを目当てとして携帯電話会社を渡り歩いて契約するホッピング行為は、無論健全なものではないのでできれば止めたいというのが携帯各社の考えでもあるようだ。ただこうした競争は、仮に1社が止めたとなれば他の会社に顧客が大量に流れてしまう可能性があるだけに、一度火が付くと止めるに止められないというのも正直な所である。

ただ競争があまりに加熱してしまうと、再び総務省が動き出して法律によるキャッシュバックの禁止など、強硬的な措置を取ることにつながりかねない。そして一度法による規制が生まれてしまうと、環境に応じて柔軟に値引きを認めるといった措置が取れなくなり、それが日本の通信産業の国際競争力を落とす要因へと直結する可能性も出てきてしまう。

実際、度重なる電気通信事業法改正で進められたスマートフォンの値引き規制は、5Gの普及期に直撃したため国内の5G普及を大きく遅らせる主因となるなど、大きなマイナスの影響が生じていた。それだけにSIMのみ契約を巡るキャッシュバックの加熱も、可能であれば業界内での取り決めで何らかの対処が進み、沈静化することを望みたいのだが、うまくいくだろうか。
(佐野正弘)



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