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どこでもサイエンス 第290回 爆発しそうな星

マイナビニュース / 2024年8月21日 17時27分

さて、一方で超新星でございます。これは、恒星の表面が爆発するのではなく、恒星全体がふっとんでしまうできごとで、ケタ違いの爆発になるわけです。

超新星には2つ(まあ3つかな)の原因があって、ひとつは新星の拡大版です。白色矮星は投下される燃料が一定程度を越えると、表面だけですまず、燃料の重みで恒星全体がふっとんでしまうことがわかっています。これをIa型超新星といっています。全体がふっとぶ重さは、太陽質量の1.4倍と決まっているので、このリミットに達すると必ず超新星になります。結果としてIa型の超新星の明るさは決まっていまして、これを使って(超新星が発生した)銀河までの距離の精密な測定ができるのでございます。

もう1つのタイプは、Ia型の変形で、白色矮星同士が衝突合体をして、重さが太陽の1.4倍をこえることで起こります。2015年のネイチャーには、そうした事例が3つ観測できたという論文が載っています。

さらにもう1つのタイプは、太陽の8倍以上の重さを持つ、巨大な星が、燃料が燃え尽きることで恒星を支えなくなり、一気に崩壊して爆発するものです。II型、Ib型、Ic型の超新星がこれにあたります。

典型的な例としては、オリオン座のベテルギウスや、さそり座のアンタレスなどの赤色超巨星があり、また、青色の超巨星が崩壊することもあります。

恒星の寿命は質量の2~3乗分の1くらいで短くなり、仮に3乗をとると、太陽の8倍重いと一生は太陽の500分の1の長さになります。太陽の寿命は100億年なので、8倍重い星は、2000万年程度。12倍重いと2000分の1の長さなので、500万年で一生が終わってしまいます。

ベテルギウスの重さは太陽の15倍以上なので、3乗なら3000分の1で300万年。2乗なら200分の1で5000万年です。さらに、恒星は、原始星→主系列星→準矮星→水平分枝星→超巨星→超新星と進化し、超新星は最終段階で、寿命全体の100分の1以下の短さです。つまり、ベテルギウスは、うえの大雑把な計算でも数万年~数十万年以内に爆発することがわかっています。宇宙の長さからいってもこれは明日といっていいレベルでございますな。

ベテルギウスやアンタレスは距離500光年と、織姫星の20倍も遠くにあるのですが1等星です。これが超新星になると、少なくとも数十万倍以上は明るくなるわけで、仮に100万倍とすると15等級明るくなります。-14等で、これは満月よりも明るくなり、昼間でも見られます。

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