東北大、緑茶中のカテキンが主要な歯周病関連細菌を死滅させることを確認
マイナビニュース / 2024年8月22日 19時10分
さらに、ディスク拡散法によるEGCGに対する感受性試験において、歯周病関連細菌はS.mutansよりも増殖抑制効果が高く、特にPorphyromonas gingivalisとFusobacterium nucleatumとFusobacterium periodontiumに対して高い効果を示したという。
次に、細菌の代謝活性抑制作用を示す指標である「50%阻害濃度」との相関が調べられた。すると、EGCGが細菌の代謝活性を抑制することが判明。その結果として、増殖が抑制されたことが推察された。これまでに研究チームはEGCGがう蝕関連細菌の菌体凝集を促す作用を持つことを確認していたが、一部の歯周病関連細菌においても同様の効果があることが確かめられたという。これは細菌が唾液などに浮遊している時に、EGCGが細菌を凝集・除去し、口腔バイオフィルム(プラーク)の形成・成熟を阻害する可能性を示すとした。
以上の結果から、EGCGは「代謝を抑制することで、増殖抑制と死滅を誘導し、さらに菌体凝集によって口腔内からの細菌の除去を促進する」という抗菌効果を示す可能性が解明された。
また、これらの歯周病関連細菌に対するEGCGの殺菌・増殖抑制作用は、S.mutansなどのう蝕関連菌よりも低濃度で効果を示すことを確認。その理由として、う蝕関連菌の多くがグラム陽性菌で厚い細胞壁に覆われているのに対し、歯周病関連菌はグラム陰性菌で細胞壁が薄く、EGCGによる障害を受けやすいなどの可能性が考えられるが、その詳細なメカニズムについては今後検討する予定とした。
なおS.mutansにおいてEGCGは、糖取り込み酵素系である「ホスホエノールピルビン酸ホスホトランスフェラーゼ系」に結合することで、糖の取り込みを阻害し、代謝活性を抑制することが明らかにされている。歯周病関連細菌においても、EGCGが代謝基質取り込み系を阻害している可能性があるが、その詳細なメカニズムについても今後の検討予定としている。
ちなみに今回の研究では、浮遊状態の歯周病関連細菌を用いて実験を行っているため、形成されたプラークやその形成過程に対する効果については現時点で不明だという。プラークは多様な細菌種からなる複雑な構造を持ち、形成過程も複雑であることから、今後、複数の細菌種からなるバイオフィルムモデルでの効果や実際の口腔内での効果を確認する必要があるとしている。
(波留久泉)
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