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史上初、地球を南北に回る有人宇宙飛行「フラム2」 - スペースXと大富豪が計画

マイナビニュース / 2024年8月22日 19時15分

ちなみに、国際宇宙ステーション(ISS)の軌道傾斜角は51.6度であり、まったく異なる軌道であるため、フラム2は単独で飛行する。

極軌道からは、南極、北極を含む、地球の全体を観察することができる。とくに、極域はISSなどの軌道からは見られず、アポロ計画でも遠くから見られたのみだった。そのため、フラム2の4人は世界で初めて、地球低軌道から極域を肉眼で見ることになる。

また、クルー・ドラゴンの先端には、キューポラと呼ばれるドーム状の大きな窓が設けられており、乗組員たちはその窓を通じて、極地などを観測することができる。

さらに、乗組員は「スティーヴ(STEVE)」と呼ばれる現象についても研究する。スティーヴは、地球の上空約400~500kmで起こる発光現象で、オーロラに似ているものの、色や発生時間が異なっており、そのメカニズムは明らかになっていない。

加えて、宇宙飛行が人体に与える影響について調べるための研究も行われる。主に、宇宙での最初の人間のX線画像の撮影、ジャストインタイム(必要なものを、必要なときに、必要なだけ)のトレーニング機器の研究、宇宙飛行を通じた行動的健康学の研究などがあり、将来の長期的な有人宇宙飛行に必要な、技術や機器の開発に役立つという。

打ち上げが2024年末ごろに行われる場合、北極は極夜、もしくはその前後に当たるため、肉眼で見ることは難しいかもしれない。一方、オーロラやスティーヴのような発光現象の観測には夜が適しているため、そうした時期に飛行することは理に適っている。

ワン氏は、「このミッションでは、乗組員の探検精神を強調し、大衆に驚きと好奇心をもたらし、そして地球の探検の限界を押し広げ、ミッションの研究を通じてテクノロジーがどのように役立つかを強調することを目指しています」と語る。

ミッションにかかる費用はワン氏がすべて支払ったものとみられるが、金額は明らかにされていない。

スペースXはこれまで、クルー・ドラゴン宇宙船を使って、13回の有人宇宙飛行ミッションを行っている。そのうち9回は米国航空宇宙局(NASA)によるISSへの宇宙飛行士の輸送ミッションだったが、残りの4回は民間人が資金を出したり、民間企業が主体になったりして行われた、商業宇宙飛行ミッションだった。

2021年には、実業家・起業家のジャレッド・アイザックマン(Jared Isaacman)氏が主催する「インスピレーション4」ミッションで、4人の民間人がクルー・ドラゴンに乗り、3日間の宇宙飛行を実施した。アイザックマン氏はまた、今年8月下旬にも新たな民間宇宙飛行ミッション「ポラリス・ドーン」を計画しており、史上初となる民間人による船外活動が予定されている。

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