史上初、地球を南北に回る有人宇宙飛行「フラム2」 - スペースXと大富豪が計画
マイナビニュース / 2024年8月22日 19時15分
また、2022年には、民間企業のアクシアム・スペースによる「アクシアム1」ミッションが行われ、ISSに自社や世界各国の宇宙飛行士を輸送した。2023年、2024年にも同様のミッションが行われている。
フラム2はこれらに続く、通算6回目の商業宇宙飛行ミッションとなる。
史上初の極軌道への有人飛行
宇宙開発の歴史上、極軌道への有人宇宙飛行が行われたことはない。これまでの最高記録は、1963年の、ワレンチナ・テレシコワ宇宙飛行士が乗った「ボストーク6」の約65.1度だった。
過去には、米国がスペースシャトルを極軌道へ打ち上げるミッションを計画していたことがあった。前述のように、極軌道は地球全体を見られるため、今も昔も多数の軍事偵察衛星が投入されており、シャトルを使って米国の偵察衛星を打ち上げたり、ソビエト連邦(現ロシア)の偵察衛星を回収(奪取)したりといったミッションが考えられていた。実際に、カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地(現在は宇宙軍基地)に発射台も建設された。
しかし、1986年の「チャレンジャー」の事故を受け、最終的に中止され、実現することはなかった。
現在は、ロシアがISSに続く独自の宇宙ステーション「ROS(Russian Orbital Station)」の建造を計画しており、実現すれば極軌道に打ち上げられることになっている。ISSとは異なり、地球全体を見られるため、ロシアはISSよりも優れた宇宙ステーションになると主張している。
早ければ2027年にも最初のモジュールの打ち上げが予定されているが、ウクライナ侵攻による資金の問題、また欧米などからの経済制裁の影響もあり、実現するかどうかは未知数である。
○参考文献
・SpaceX - Updates - First Human Spaceflight to Fly Over Earth’s Polar Regions
・fram2: First Human Spaceflight To Earth’s Polar Regions
鳥嶋真也 とりしましんや
著者プロフィール 宇宙開発評論家、宇宙開発史家。宇宙作家クラブ会員。 宇宙開発や天文学における最新ニュースから歴史まで、宇宙にまつわる様々な物事を対象に、取材や研究、記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。 この著者の記事一覧はこちら
(鳥嶋真也)
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